普段何気なく見ているNHKの報道番組。実は奇妙なルールも数多く存在する。いくつか紹介しよう。
用語でいえば、5月の連休のことを「ゴールデンウィーク」と呼んではいけないという奇妙な制約がある。
●ゴールデンウィークは“放送禁止用語”
「オイルショックの頃に、“のんきに休んでいられないのに何のつもりだ!”という抗議が数多くあって、それ以来『大型連休』と言い換えている」(NHK記者)のだとか。40年以上前のクレームを今も引きずっているというのは、誠実というべきか、アタマが固いというべきか……。
●「こんにちは」と「こんばんは」が変わる瞬間
これだけ言葉遣いに厳しいと、「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」など時間帯で変わる挨拶にも境界線がありそう。
検証すると昨年3月30日から始まった情報番組『ニュース シブ5時』(16時50分~)はアナウンサーが「こんにちは」と挨拶して始まっているが、その前身番組『ゆうどき』(16時55分~)の冒頭は「こんばんは」。つまり16時50~55分の間に境界がある……と思ったが、NHK放送文化研究所のサイトでは「一概には決められません。『あたりがどのくらい暗くなっているか』ということと強く関係あるため、地域・季節によって異なるのです」とのこと。こちらはルールを作らないのがルールか。
●台風の上陸ポイントからレポートしてはいけない
天気予報もルールがある。台風報道の際、民放各局はヘルメット姿のアナウンサーが暴風雨の中で吹き飛ばされそうになりながら実況中継を競い合う。だが、NHKだけはそうした上陸ポイントからの実況をやらない。報道デスクの話。
「NHKには減災報道の原則がある。視聴者に『外出は危険』と呼び掛けているのに、わざわざ記者を危険な波打ち際に立たせたら、同じように見物に行く人が出てしまう。それでは防災や減災に逆行する」
迫力ある映像を使いたい気持ちを堪えて、「九州が暴風域に入れば、域外の室戸岬あたりから『こちら、6時間後には上陸するとみられる……』といった中継にする」(同前)というのだ。
※週刊ポスト2016年4月15日号