「キュアップ・ラパパ!」
それは不思議な結果をもたらす魔法の言葉。アニメ「魔法つかいプリキュア!」の世界では、さまざまな魔法が登場します。しかし、そもそも魔法とはいったい何なのでしょう?
Wikipediaでは以下のように定義されています。
---------------------------------------―魔法(Wikipedia)
魔法(まほう)は、常人には不可能な手法や結果を実現する力のことである。
超常的な力を使い、特異な結果をもたらすものを「魔法」と呼ぶと定義されています。この後、用途や文化においての定義がいくつか続くのですが、諸説・さまざまな定義があるようです。
続いて、魔法が登場する小説・アニメなどフィクションの中での魔法の定義も見てみましょう。たとえば、魔法という概念が多々登場するTYPE-MOONの「Fate」シリーズや「月姫」シリーズなどでは魔法は以下のように定義されています。
---------------------------------------―魔法(TYPE-MOON Wiki)
その時代の文明の力では、いかに資金や時間を注ぎ込もうとも絶対に実現不可能な「結果」をもたらすものを指して魔法と呼ぶ。
Wikipediaとほぼ同じですが、手法に関しては問われず、あくまでも実現不可能な結果をもたらすものを「魔法」と呼んでいます。逆に現代の手法に置き換えられるものは「魔術」であるという定義です。
どちらの魔法論がしっくりくるかは捉え方、そして「こうだったらいいな」という各々の魔法への期待によって変わるのではないでしょうか。
個人的には、魔法の定義はTYPE-MOON作品の魔法の方がイメージと近いものがあります。Wikipediaの「常人には不可能な手法=魔法」という定義だと、自分には理解できていないだけで、実は裏にトリックがあるといったこともありえるように思えるからです。
呪文を唱えると目の前から人が消える。
これは確かに魔法的です。しかし、プリンセス天功は魔法つかいではありません。Mr.マリックも魔法つかいではありませんし、マギー司郎も、エスパー伊東もそうではないのです。
この定義のもと、プリキュアの「魔法」は本当に魔法なのか? 現代の科学では実現できないものなのか? プリキュアの魔法を科学で分析していきましょう。
プリキュアの魔法を科学で代用してみよう■ほうきやじゅうたんで空を飛ぶ「飛行の魔法」
「自分の意思で空を飛んだ」という結果を考えると、飛行機もまたパイロットの意思で空を飛び操ることができます。ホバーボードも開発が進んでいますし、メーヴェだって今は空を飛ぶ時代です。
つまり「空を飛ぶ」は現代科学でも再現ができます。
■クマのぬいぐるみが動いて言葉を話す「制御意思の魔法」
クマのぬいぐるみのモフルンが動いてしゃべり出す。これは確かに魔法チックですが、ぬいぐるみにサーボモーターを仕込んで遠隔操作するのは簡単。
また、クマタカラトミーアーツから発売されている「ヒミツのクマちゃん」もしゃべって動きます。このクマちゃんはプログラムされた言葉だけでなく、あなたの思うままに声を発するのです。魔法みたいですよね?
種明かしをすると、このクマちゃんにはトランシーバーが内蔵されており、こっそりとパパやママが話しているわけですが、モフルンだってどこかでこっそりと時給900円くらいで雇われたおじさんが「モッフー♪」とか言っている可能性があります。若干イメージはかぶりますが、いっこく堂はまた別物です。
■少女たちが手をつなぐとプリキュアに変身する「形状変化の魔法」
小林幸子さんだって変身します。そこまで珍しい現象ではないでしょう。
■ステッキから破壊光線を放つ「光線の魔法」
破壊力のある光線兵器といえば、レーザー兵器。これもさまざまなものが開発されています。ボーイング社はドローンを撃ち落とすことに特化したコンパクトなレーザー兵器システムを開発していますし、数年後には実用化されることでしょう。
■冷凍みかんを解凍する「生活の知恵の魔法」
電子レンジというものがありまして……。
■一瞬にしてお湯をわかす「給湯の魔法」
すぐ、わく、ティファール♪
■水を凍らせてイメージを形にする「造形の魔法」
作中では氷のネックレスを作っていましたが、ショットグラスであれば製氷機で作れます。3Dプリンターで製氷皿を出力すれば、どんな形状の氷でも作れるようになるはずです。
■海の中で息をする「環境適応の魔法」
くわえるだけで45分間の水中呼吸が可能になる人口エラ「Triton」というものがクラウドファンディング「INDEIEGOGO」で資金を募集していました。
しかし、このプロダクトは現代の科学では小型化に難ありとして開発は中止、計画は頓挫しています。素晴らしいアイディアなだけに残念です。
では、海の中で呼吸をすることは現代の科学では不可能なのか? というと、重さを考えないのであれば、ボンベを背負えば海の中でも呼吸はできます。
小さなお友達のロマンをぶち壊すような形になりましたが、魔法のように思えるさまざまな現象は、現代科学の力で実現できるものばかりでした。
そう考えると科学と魔法は本当に紙一重です。事実、かつて超常の力や結果は「魔法」や「錬金術」と呼ばれていた時代もあります。しかし、その仕組みが解明されていき、歴史の中で「科学」という枠の中に収められてきたのです。
つまり、科学は魔法の結果であり、魔法もまた科学から生み出されます。
現象を広く捉えれば、今あなたの手元にある小さなスマホで実現できる、音楽を鳴らす、遠くの人の顔を見ながら話すといった現象もまた、1つの「魔法」と呼べるのものでしょう。
キュアップ・ラパパ! FaceTimeでつなぎなさい!
©2016 T-ARTS.
source: 魔法つかいプリキュア, Wikipedia, TYPEMOON.COM, TYPE-MOON Wiki
タカラトミーアーツ, ARCA, GIZMODO, Fred & Friends, Indiegogo
(キュアコグレ)