母親の死は自殺か事故死か、その真相に迫るジェシー・アイゼンバーグ主演映画とは? | ニコニコニュース

ヨアキム・トリアー監督
シネマトゥデイ

 昨年のカンヌ国際映画祭出品作品『ラウダー・ザン・ボムズ(原題) / Louder Than Bombs』について、ヨアキム・トリアー監督が3月31日(現地時間)にニューヨークのスカンジナビア・ハウスで行われたQ&Aで語った。

 物語は、戦場カメラマンの母イザベル(イザベル・ユペール)の突然の死から3年、彼女の回顧展準備のため、ジョナ(ジェシー・アイゼンバーグ)が教師の父ジーン(ガブリエル・バーン)と引きこもりがちな弟コンラッド(デヴィン・ドルイド)が暮らす実家に戻ってくるところから始まる。彼らが、準備の過程で徐々に明らかになるイザベルの過去に戸惑いながらも、家族が絆を深めていくさまが描かれる。映画『オスロ、8月31日』のヨアキム・トリアー監督がメガホンを取った。

 イザベルが演じた戦場カメラマン役には、実在のモデルがいたのか。「特にはいない。僕が創作したものや多くのリサーチをまとめたものだ。ただ、フランスの戦場カメラマンのアレクサンドル・ブラーの写真を映画内でも数枚使用している。戦争で影響を受けた人々の写真を撮った彼女に感動した僕は、彼女の家族の許可を得て写真を使用させてもらった。そのため、今作は彼女の伝記ではないが、彼女の写真の繊細さとリアルさが、映画にも表れていると思う」と答えた。

  母国の作品と初の英語作品の違いについて「ノルウェーの映画撮影は、もともと困難だった。なぜなら監督として俳優やスタッフの前で、ムード作りや模範的な環境作りをし続けるからだ。それに有名な国際的俳優であっても、人間的に接しなければいけない。一方、アメリカの撮影現場は、まるでコーチェラ・フェスティバル(全米最大規模の野外ミュージックフェス)だった。セットでは、スナックのセクションや(撮影用の)14台のトラックが用意されていた。もちろん、技術もノルウェーとは違って、ニューヨークのクルーは僕がこれまで仕事した中で最も良かった」と驚かされたようだ。

 ユペールとのタッグについて「彼女は女優としての素晴らしさと謎めいた要素がある。僕らは彼女の多くの作品を観ているが、彼女が一体どういう女優なのか見抜けない。今作の主人公イザベルは、戦場カメラマンの仕事を続け、家には不在で、謎めいた要素が必要だった。彼女(ユペール)がもっとも勇敢だと思ったのは、僕がタッグを組んできた女優の中でも、長い撮影現場でずっと同じ感情でいられることだった」と称賛した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)