昔と比べると希薄になったと言われる日本の"ご近所付き合い"。もらいもののおすそ分けをしたり、力仕事で困っていたら手助けをしたりと、そんな隣近所との接し方は、外国人にとってどのように感じられるものなのだろうか。日本在住の外国人20人に聞いてみた。
Q.日本の"ご近所付き合い"について、どう思いますか? 母国との違いも含めて教えてください
○母国にも似た習慣あり
・「とてもいい文化と思います。オーストラリアにも似ている文化があります」(オーストラリア / 30代後半 / 男性)
・「ベトナムも同じです。近所付き合いが大事です。何があったら、身近に助けてくれるのは近所の方です」(ベトナム / 30代前半 / 女性)
・「みんなが助け合って、いいことだと思います。シンガポールも日本と同様です」(シンガポール / 20代後半 / 男性)
・「ブラジルも同じと思います」(ブラジル / 40代前半 / 女性)
・「いいと思う。マレーシアにもあるのですが、なかなか参加する人が少ないです」(マレーシア / 30代半ば / 女性)
・「都会と田舎で違うと思います。韓国も似たような感じです」(韓国 / 30代前半 / 女性)
・「少し陰湿だと思う。インドネシアも似たような感じ」(インドネシア / 20代後半 / 男性)
・「香港でも同じ文化がありますので、悪くないと思います。しかし香港人は日本人みたいに気遣わないので、香港のほうが楽です」(香港 / 20代後半 / 女性)
○母国とは違う
・「なかなか珍しい文化ですね。周りの人と仲良くしようとして、いい環境を保つように努力するのはさすがに日本人ならではの文化ですね」(ロシア / 20代後半 / 男性)
・「ご近所付き合いは、寂しくならないようにとてもいいやり方です。日本と違って、欧米は多様性が高い国々なのでお互いのことを信用できません」(スペイン / 30代前半 / 男性)
・「いい時もありますが、必要以上に構ってくれるとプライバシーがなくなって困ります」(カナダ / 30代前半 / 女性)
・「ウクライナでは、近所の人と接しないことが一般的です」(ウクライナ / 20代半ば / 女性)
○まだまだ浅いと思う
・「浅いです。母国では近所との関係が非常に強くて家族みたいです」(バングラデシュ / 20代半ば / 男性)
・「日本の近所付き合いは、残念ながらエジプトほどではありません。エジプトでは近所は家族のような付き合いがあります」(エジプト / 20代半ば / 男性)
・「希薄だと思います。母国では少なくともご近所の人の名前や職業は分かるくらいの会話があります」(トルコ / 40代前半 / 男性)
・「10年くらい前に外国人の寮から普通のアパートに引っ越した時、近所の人たちはかなり冷たいと思いました。自分からあいさつしに行かなきゃいけないというのは知らなかったのですが。今は子供が小学生なので少し近所に知り合いができましたが、それでも子供を簡単に預けたりおしゃべりのために隣に家を気軽にたずねたりできないのが寂しいです」(フィリピン / 30代半ば / 女性)
○そのほか
・「あまり付き合っていないと思います。台湾の都会も日本と同じです」(台湾 / 40代後半 / 女性)
・「面倒だと思う」(中国 / 20代半ば / 男性)
・「自分は特に他人と関わらない性格なので、そういった付き合いはしたことがないです」(イタリア / 30代前半 / 男性)
○総評
親密な"ご近所付き合い"が当たり前だった頃は、「雨が降ると近所の庭の洗濯物を取り込んであげる」という場面も見られた日本。しかし、現代でそんなことをしたら通報されてしまうかもしれない。以前より希薄になったとはいえ、日本の"ご近所付き合い"をわずらわしく感じる外国人も中にはいるようだ。
エジプトのように、国によっては現代でも「家族のような」付き合い方をしているところもあるよう。日本でも近年では「もっと地域に目を向けてみよう」といった動きが見られることもあり、また濃い"ご近所付き合い"の文化が戻ることもあるかもしれない。ご近所同士のベストな距離感は人によっても国によっても異なるかもしれないが、全く交流がないのも寂しいものだ。
調査時期:2016年2月15日~2016年3月15日
調査対象:日本在住の外国人
調査数:20名
調査方法:インターネット応募式アンケート
※本文と写真は関係ありません
(木口マリ)