長きにわたる調整期間を経て「編隊少女-フォーメーションガールズ」本格始動。開発陣に本作の基本システムと魅力をあらためて聞いてみた | ニコニコニュース

 アイオウプラスがYahoo!ゲームでサービスを提供する新作ブラウザゲーム「編隊少女-フォーメーションガールズ」は,第二次世界大戦に登場した戦闘機と操縦士の少女達が未知なる敵と戦っていく育成シミュレーションゲームだ。昨年8月にβテストを行ったあと音沙汰がなかったのだが,開発陣は継続してクオリティアップの作業を進めており,ここにきてリリースに向けた最終段階に入ったようだ。
 今回は,編隊少女の開発チームのメンバーであるアイオウプラスの兼光一博氏と伊藤弘樹氏から,本作の基本システムとβテストからの変更点について詳しく聞くことができた。
 さて,βテスト時は荒削りだが勢いのある,良い意味でインディーズ感のあるゲームといった印象だったが,長い調整期間を経て本作はどんなタイトルに仕上がったのだろうか。

■ビジュアルを中心にクオリティアップが行われ,遊びやすく生まれ変わった編隊少女

 零戦やメッサーシュミットなど,第二次世界大戦に登場した戦闘機がゲーム内で3Dモデルによって再現され,そのリアルな機体に女の子を乗せて戦う,本作はそんなミリタリーと美少女の組み合わせによるブラウザゲームだ。「編隊少女‐フォーメーションガールズ」というタイトルが表すように,すべて女の子で構成された操縦士達は可愛く描かれ,ブラウザゲームとは思えないほどよく動く空戦パートでは,好みの操縦士を組み合わせた編隊を組んで戦いに挑むことになる。


 また,日常パートも存在しており,女の子達と交流できるのも本作の魅力の一つとなっている。

 女の子を育成してバトルに望むというシステムの根幹は,ブラウザゲームではよくあるものだ。しかし,βテストでは,戦闘機のリアルさや,コマンド選択方式の本格的なバトル,細かい要素がぎっしりと詰め込まれた育成要素など,ほかのブラウザゲームとは一線を画す“硬派”なシミューションゲームの一面も見ることができた。


 筆者もβテストに参加したのだが,荒削りながらも随所にこだわりが感じられて──3Dのバトルから急に横スクロールの爆撃シーンに切り替わるところとか──好感触だった。育成システムや機体の改造といった部分では,こだわりが強すぎて,初見では難解だったりもしたが,面白いゲームを純粋に作りたいという気持ちは十分に伝わった。実際にβ版をプレイした人なら「現段階では完成度はいま一つだが期待は持てる」と感じたのではないだろうか。

 そんなβテストから8か月が経過したわけだが,テスターからの意見や要望を反映して,編隊少女は本格始動することになったという。


 まず,見た目で分かる変更点として,ロゴが新しくなり,同時にフロントに立つ女の子のビジュアルが美麗なものに差し替えられた。

 「ミリタリー色が濃いタイトルであり,戦闘機による3Dバトルにこだわっているところは変わりませんが,より多くの人,例えば戦闘機に興味がないような人にもアプローチできるようビジュアルを一新しました。βテスト時はキャラクターが“地味”だと言われることもありましたので,レアリティの高い操縦士を中心にクオリティアップをいたしました」(兼光氏)

 βテスト時はパイロットスーツ姿の女の子が多かった印象だったが,普段着に近い操縦士スーツが増えて色使いも華やかになっているようだ。本作には複数のイラストレーターによるさまざまなタイプの操縦士が登場するが,新規の操縦士もどんどん増やしていくとのこと。

 ゲーム内容に関しては,βテストのときと軸は変わらずで,第二次世界大戦に独自の設定を追加した“IF”の世界観のなかで,本格的ミリタリー要素にドラマチックなストーリー展開が楽しめるようになっている。「グリザイアの果実」などを手がけたフロントウィングのシナリオライター陣に依頼して制作されたという,壮大なシナリオにも注目してもらいたい。

 ちなみに,ストーリーのあらすじは以下のとおりで,世界各国の基地を舞台に,章/節/話からなる重厚な物語が展開する。

●編隊少女のあらすじ


時は第二次世界大戦。
──突如として現れた侵略者「FF(フーファイター)」
事態を重く見たイギリスにてFF研究機関が発足。さらに,国の枠組みすら超えて「FF特務機関」が設立された。
そこではFFに対抗できる唯一の存在として,凶暴化の影響を受けない特別な適正を持った少女達が集まる。
主人公(プレイヤー)は特務機関から要請を受けた司令官。
戦闘機の操縦士として訓練を受けた少女達を導き,人類共通の敵であるFFを倒せ!

 βテストバージョンでは,6つの国から自分の所属する国を選択する方式だったが,これも割愛されて,国ではなく直接FF研究機関へ所属する形に変更された。


 また,当初は,リアルな時間の経過により年代が動く(リアル半年で1940年9月〜1945年9月の5年間)システムで,1945年9月になると一つの周期が終わり,再び1940年9月から再スタートするというコンセプトだったが,ストーリー進行によって年代が動くようになった。これは,集めた機体や育成した操縦士といったプレイヤーの資産をリセットしないような配慮だ。関連して,撃墜された機体が“ロスト”することもなくなったようだ。テスターの間でも話題になったシステムであるが,継続して遊びやすい環境が整えられたと言っていいのではないだろうか。

■ベースとなるゲームシステムはシンプルになり,分かりやすさを重視

 ゲームの基本サイクルは,「クエストバトル(ストーリー)」で敵と戦って,出撃した操縦士の経験値を稼ぎつつ報酬を得て,報酬を使って操縦士を強化していくという流れになる。そして,強化された操縦士を編隊に組み込んで,より難度の高いクエストバトルに挑戦する循環だ。プレイヤーのお楽しみ要素としては,報酬を使って戦闘機を製造することと,操縦士と交流して「好感度」を上げ,キャラクターストーリーを開放していくことだ。

 「すべてのキャラクターにストーリーを用意していますので,好きな操縦士を見つけてもらって,思う存分育成に励んでいただければと思っています」(兼光氏)

 空戦パートは,3Dのリアルな戦闘機同士のドッグファイトが見どころだ。システム的にはターン性のコマンド方式が採用されているが,βテストから大きなテコ入れが行われた。以前は,ボードゲームのように移動と攻撃を別々に行う複雑なバトルだったが,攻撃系のコマンドだけを選択するシンプルなシステムが採用された。


 また,以前は搭乗する機体が被弾しないと操縦士の姿が見えなかったりしたのだが,行動のたびに基本コマンド部分に女の子の上半身が出るようになった。ユーザーインタフェースは一新されていて,直感的に分かりやすく修正されている。

 以前は,バトル中の機体移動で敵との距離を調整させることで戦術性の高いバトルにしていたわけだが,新しくなったバトルでは「フォーメーション」を組んでおけば,それだけでさまざまな効果が得られるようになっている。また,「ターン順番(画面の左端の顔マーク)」を見ながら戦うことも可能となり,スキルを使ってターン順番を上げ下げすることも重要な要素となった。味方操縦士が連続で攻撃をすると連携(コンボ)が発生して,敵により多くのダメージを与えられるのだ。


 ただし,敵にもコンボが発生するので,どの敵を優先して撃墜するのか,しっかりと考えて行動しなければならない。

 また,ターンごとに「編隊戦術(画面左下)」のゲージが溜まっていき,これが最大になると,四位一体の大技が発動可能となる。いわゆる超必殺技扱いの大技であり,ダメージも高く演出も派手なので,バトルのアクセントとして機能しそうだ。

 全体に分かりやすさと女の子のビジュアルを前面に押し出したバトルシステムに生まれ変わったわけだが,バトルの主役ともいうべき戦闘機のモデリングはβテストから変わらずのリアル志向だ。


 「戦闘機に詳しい人からも評価していただけるように制作しました」と兼光氏が言うように,細部までこだわって再現された3Dの機体が縦横無尽に飛び回る姿は必見である。βテスト時はグラフィックスのクオリティが影響してか“重さ”を感じることもあったが,新しいバトルではテクスチャのアップデートを行ったうえで“軽い”感じに仕上がっている。通常攻撃も複数の演出パターンが用意されており,スピード感のある独特の空中戦はβ版から大幅なパワーアップが行われたといっていいだろう。

 「長らくお待たせしてしまいましたが,その分システム的にもグラフィックス的にも満足できるものに仕上がりました。キャラクターの行動によってボイスも変わるようになっていて,テンポの良いバトルがお楽しみいただけるはずです」(兼光氏)

 ちなみに,冒頭で軽く触れた爆撃モードは,新バージョンのバトルシステムには組み込まれていない。伊藤氏によると,実は爆撃モードは,βテストではテスターの評判は上々だったのだが,煩雑だったシステムを整理する狙いもあって“ファーストリリースの時点”ではシステムに盛り込まなかったという。爆撃モードに限ったことではないが,新バージョンで削除された要素については,正式サービス以降のアップデートで復活させることも考えているとのことだ。


 新バージョンのバトルシステムは, βテストのときに感じた荒削りな勢いがやや抑えられている印象を受けたが,これはあくまでスタート直後に煩雑なシステムで遊び方が分からずに離脱してしまうプレイヤーを最小限に抑えるための方策のようだ。まずはベースの部分をしっかり遊んでもらい,その後でβテストのときに見せた“尖った”要素を少しずつ見せていきたいと伊藤氏は話してくれた。

■βテストの結果を踏まえ,自分のペースで自由に遊べる環境が整えられた

 βテスト時は,基地運営ゲームとして拠点を少しずつ強化していくような要素もあったのだが,新生編隊少女では,運営の部分はバッサリと削除されている。


 これは,βテストで「対戦に結びつくような要素は求められていない」ことが分かり,同時に「自分のペースで遊ばせてほしいという声が圧倒的だった」ことを受けての修正であるという。
 対戦のシステム自体は視野に入れているとのことだが,まずはゆっくりとキャラクターを愛でられるようなゲーム性を目指し,日常パートでは女の子との交流にフォーカスを当てることになったようだ。

 「硬派なゲームでありつつも,キャラクターも好きになってもらいたいという思いがあります。そのため,日常パートでは女の子達と交流することで好感度が上がり,オリジナルストーリーや新しいボイスが開放されるといったお楽しみ要素を用意しました」(兼光氏)

 機体の製造に関しては,クエストの報酬で入手した素材を使うことになるが,ストーリーがある程度進まないと弱めの戦闘機しか作れない仕様となっている。零戦とかスピットファイアとかフォッケウルフなど,有名かつ強力な機体はある程度ステージを進めて良い素材を集める必要が出てくる。

 「機体の種類に対してパラメータを決めてしまうと,早い段階で登場した機体があとで“使えない”ことになってしまいます。ですので,例えば同じ零戦でもいくつかのバリエーションを用意することで,零戦だけで編隊を組みたいといったプレイヤーのニーズにも応えられるように調整をしています」(兼光氏)

 ちなみに,β版では,機体の改造をするだけでなく乗せるパーツを組み替えたりもできたが,新バージョンでは機体そのものにバリエーションが増えることもあって,改造自体はシンプルなシステムに変更されている。もちろんバージョンアップにより改造のシステムが拡充されることは大いにありえることだが,少なくとも正式サービスの時点では改造よりも,有用な機体そのものを入手することが目的となりそうだ。

 「βテストでは,思い入れが強すぎたゆえに数多くのシステムを盛り込んでしまいましたが,新しいバージョンでは,誰でも楽しめ間口の広いゲームにするべくシステムを一新いたしました。荒いところを丸めていく作業でもあったため,β版をプレイされた方にとっては,もの足りなく感じるところもあるのではないかと危惧するところではあったのですが。それでも当時の歴史に詳しい人には,実在する操縦士をイメージしながら,ゲーム内の操縦士の女の子達を見て楽しんでいただきたいです」(兼光氏)

 ミリタリーモノのゲームでは,どうしてそのデザインになったのかを読み解くことも楽しみの一つとなるが,本作では操縦士のデザインに注目してみるといいだろう。

 「2013年の『艦これ』,2015年の『ガールズ&パンツァー』に続き,2016年次のミリ萌えゲームを目指して編隊少女をリリースいたします。すでにグッズ化も決定しており,続いてノベライズ,コミカライズ,アニメ化とメディア展開も積極的に行っていきたいです」(兼光氏)

 以上のように,βテストで見せたミリタリーへこだわりまくった作風はそのままに,ビジュアル面を中心に大幅なブラッシュアップが行われて新生した「編隊少女 フォーメーションガールズ」。開発を行うアイオウプラスはまだ若い会社であり,開発担当の人員も決して多いとはいえない。しかしながら,小規模な会社だからこそ,制作者のこだわりがゲームに反映されやすい環境にあるのも確かで,何か面白い仕掛けを用意してくれるのではないかという期待も大きい。5月に再びβテストを行う予定とのことで,その後の展開にも注目していこう。

リンク:「編隊少女」公式サイト

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記事URL:http://www.4gamer.net/games/313/G031377/20160415083/
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関連タイトル:
・BROWSER 編隊少女

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