東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が、4月8日に五輪エンブレムの最終候補4作品を発表。2015年に“盗作騒動”が巻き起こり、再公募が行われた末、最終局面に辿りついたわけだが、またもや物議を醸している。
今回発表されたのは、(A)組市松紋(市松模様のチェッカーデザイン)、(B)つなぐ輪、広がる和(調和の“和”を表現したデザイン)、(C)超える人(風神・雷神モチーフのデザイン)、(D)晴れやかな顔、花咲く(朝顔のデザイン)という4作品。いずれもデザイン専門家に協力をあおぎ、デザイン面でのチェックに加え、国内外の商標手続等も行っており、制作過程の情報提供も行われたという。
公式ホームページによれば、「こうした選考の手続をすべて通過したエンブレム委員会一同が自信を持ってお示しする、現段階におけるベストの4作品です」として委員会は自信をのぞかせている。しかし、そんな万全の体制を期したという記述に反して、昨年の五輪エンブレムの審査委員を務めたグラフィックデザイナーの平野敬子氏が9日、自身のブログで、
「デザインの特徴から『A案』と『BCD案』という1対3の構図に見えました。4案の中で1案を選ぶという方法論において、先頭に配置された1案だけが際立つ見え方は不適切」
など、“A案ありきのプレゼンテーション”ではないかと指摘。「色彩」「基本形状」「造形モティーフ」「コンセプト」という4点から、(A)が際立つ図式になっている、としている。
そのほか、産経ニュースなどでは、どの案とは明言していないものの、“当初、最終候補に選ばれていなかった作品が含まれている”と報じられており、またも選考での不透明感が拭えない事態となっている。
Twitterには、そもそも最終候補となった4案について、
「あのパクリエンブレムよりはマシだが、どれも日本らしさが足りないかな…。
と厳しい声も散見されており、そんななかで“疑惑”が浮上したため、
「また出来レースなのか。さも民主的に決めたように見せかけて、もう何をやっても一切信用することはできない!!」
と怒りに近いコメントも多数投稿されている。
なお、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は17日まで特設サイトおよびハガキで国民の意見を募集。11日時点で3万2413件、はがきは84通に達したという。これらの意見を踏まえ、25日に最終審査を行うというが、意見がどこまで参考にされるのか。ネットユーザーからは「オリンピックのエンブレムとかもうなしで」といった意見もあがっているが…。
※当記事は2016年04月13日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。