お笑いコンビ博多華丸・大吉の博多華丸(46)が「THE MANZAI2014」の漫才で、「ユーチューバーになりたい」とボケて笑いを取っていたが、そういう時代ではなくなってきているのかもしれない。朝の情報番組『スッキリ!!』(日テレ)で4月14日、「キッズユーチューバー」特集が放送され、総再生回数が4億回以上を記録する6歳の"がっちゃん"などが紹介された。これに対し、視聴者の間で賛否が分かれている。
■子どもの憧れ…ユーチューバーは高収入?同番組内で「今時の子どもたちの夢の職業」の一つとして紹介されたユーチューバー。動画共有サイト「YouTube」にオリジナルの動画を定期的にアップし、広告収入などを稼ぐユーザーを指す。日本のトップには「ヒカキン」や「はじめしゃちょー」「セイキン」「マックスむらい」などが存在し、年収で数千万円以上稼いでいると言われる。
『スッキリ!!』の特集でまず紹介されたのは、同世代のキッズに大人気のキッズユーチューバー・がっちゃん。2、3日に1本の動画を定期的にアップしているという"がっちゃん"は、3歳でデビューして以来、400本以上の動画を投稿。ついには、オモチャメーカーのタカラトミーなど企業から各種タイアップの話が舞い込んだという。
他にも、投稿動画数300以上・総再生回数1900万回以上を誇る名古屋在住のキッズユーチューバー3姉妹が登場。メガネ型ストローの紹介動画の制作風景を紹介した。ちなみに同姉妹の動画にまつわる撮影や編集はお母さんが担当し、作業は夜中まで及ぶこともあるとか。
同特集内に登場した現役ユーチューバー「カブキン」は、最近は1再生あたりの広告収入が約0.08円になると解説(2016年4月現在)。仮に単純計算すると、がっちゃんが記録する4億回の再生数なら約3200万円だ。「1年前は0.03円だった」というカブキンの証言を考慮して少なく見積もっても、1000万円以上は稼いでいる見込みになる。
放送終了後、キッズユーチューバーの存在に驚きを隠せない視聴者からは「面白かったです」と興味を示す声の他、「親のお金稼ぎ目的ではないか」「大人になったときの最高の黒歴史」などと非難が吹き荒れた。
「本人が自分の意志で活動しているならまだしも、親の意志が強い場合はやや困りものですね。幼い頃から子役やモデルとして活躍する子どもたちに通じるものを感じます。過去に子役だったある子は、忙しいときはゴハンも食べる暇もないほどスケジュールがぎっちり埋められていて、ちょっと気の毒でした」(芸能関係者)
しかしながら、キッズユーチューバーに非難が出ている裏で、人気があるのも事実だ。がっちゃんの公式YouTubeページは24万4千以上のユーザーが登録し、時には1動画で300万オーバーの再生数を記録している。大人でもなかなかできることではない。
「NikonやCanonの最新一眼カメラが4K画質の動画機能を搭載した昨今、一般の方でもテレビに負けない高画質の動画が撮れる環境になってきました。また動画の編集ソフトも安く手に入りますし、やる気とアイデアさえあれば多くの視聴者を獲得できる可能性があります。とはいえテレビの映像編集に比べれば、チープな出来が目立つのはたしか。そんなチープに見える動画のコンテンツで何百万円、何千万円と大金を稼ぐ姿を傍から見れば、Web上でラクに金儲けをしていると反感をもつ人が出ても不思議ではありません」(Web業界関係者)
子どもがユーチューバーを夢見るならサポートするのも一つの手。しかし親が私利私欲に走らないようにご注意を。きっと親の見苦しい姿が子どもの黒歴史になってしまう。
文・海保真一(かいほ・しんいち)※1967年秋田県生まれ。大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーライターに。週刊誌で執筆し、芸能界のタブーから子供貧困など社会問題にも取り組む。主な著書に『格差社会の真実』(宙出版)ほか多数。