熊本地震で自宅前で車中泊をしていた熊本市内の女性(51)が倒れ、搬送された病院で死亡していたことが19日、分かった。搬送先の国立病院機構熊本医療センター(熊本市)によると、エコノミークラス症候群とみられる。今回の震災で、同症候群によるとみられる死者が確認されたのは初めて。別の病院でも2人が一時、心肺停止状態となった。
同センターによると、女性は17日夜、同市西区の自宅前駐車場に止めた車に宿泊。翌18日朝、車の外で倒れて搬送された。意識不明の心肺停止状態だった。
医師は、エコノミー症候群とみられる「肺動脈血栓塞栓症」と診断。同日午前8時35分ごろ、死亡が確認されたという。
済生会熊本病院(熊本市)では、17、18両日に、いずれも車中泊をしていた30〜70代の男女10人が同症候群と診断された。うち4人は重症、2人は一時心肺停止状態となった。心肺停止の1人はその後回復、1人は県外の病院に移送された。
また熊本赤十字病院(同市)では、17、18両日に入院した5人が同症候群と診断された。うち1人は重症。いずれも車中泊をしていた40〜70代の女性という。
同症候群は、長時間同じ姿勢でいることでできる血栓が、肺の血管を詰まらせることで引き起こされる。車内での避難生活や、1人当たりのスペースが狭い避難所などではリスクが高まるとされる。