森山裕農林水産相は19日、衆院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会の質疑で、日本がTPP交渉で「聖域」と位置付けたコメ、牛・豚肉など農産品重要5項目について、すべてで関税引き下げなどの見直しが必要となったとの認識を明らかにした。重要5項目の「除外扱い」を求めた国会決議との整合性が改めて問われそうだ。民進党の玉木雄一郎氏への答弁。
関税には、国が年間輸入数量を定める国家貿易の関税(枠内税率)と、国家貿易の枠外で民間が輸入する際の関税(枠外税率)がある。森山農水相は19日午後の答弁で、重要5項目(関税分類594品目)の中で、関税を維持したのは単純合算で155品目と回答した。その上で、「(国家貿易の枠内だけでなく)枠外税率も変更を加えていないものがあったかなかったと言われれば、なかった」と語った。
この発言は、重要5項目の中に、関税の撤廃・削減の対象から外れた「無傷」のものが存在しないことを認めたものだ。