尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐる対立や歴史問題などがクローズアップされていた時期と比べると、現在の日中関係は小康状態にあるといえる。かつては蜜月関係にあったといえるほど、日中関係が良好だった時代もある。日本と中国は確かに数多くの問題を抱えているが、今後再び日中が蜜月関係を構築することはできるのだろうか。
香港メディアの鳳凰網はこのほど、「日中は再び敵国同士となってはならない」と題して、訪日した中国人による手記を掲載した。
日本の識者と情報交換するため訪日したという筆者は、日中関係が悪化した2004年当時にも訪日したことがあるというが、ずっと変わらず日中関係の改善を望んできたという。「中国は伝統的な考え方をひとまず棚上げし、北朝鮮との革命による伝統的な友情を捨ててでも日本に接近すべき」とその必要性を強調した。
そこまで主張する理由として、「歴史に根本的な変化があったこと」を挙げた。戦後の日本は政治と社会文化を急速に方向転換し、世界有数の経済大国に上り詰めたことや、日本に痛めつけられた韓国、シンガポール、香港、台湾もアジア四小龍として経済的に豊かになったこと、中国も改革開放によって急速に発展し、日本を超えて世界第2位の経済体になったことを挙げたうえで、すでに環境は大きく変わっていると論じた。
また、この半世紀で生じた世界中での武力衝突に日本は関係してこなかったと指摘し、「北朝鮮だけが自分の殻に閉じこもり前進してこなかった」と主張。北朝鮮の核問題のほうが日本との問題より、中国にとってはよっぽど大きな問題だと論じた。
筆者は、日本の政治家が靖国神社を参拝したり、尖閣諸島問題で日本が挑発してきたり、新安保法案を成立させるなど、日本の行動が中国の怒りを買っているとしながらも、「北朝鮮は実在する現実の問題」であると指摘。核問題のほうが中国にとって危険であり、6カ国協議を主導している中国は、北朝鮮の膨らむ野望を制御するのが難しくなっているとした。
中国と北朝鮮はともに共産主義国であり、朝鮮戦争でともに戦った「血で固められた同盟」と言われるほど固い結束を誇ってきたが、近年は中国の説得に北朝鮮が耳をかさないケースが増えていると言われる。一方の日中関係は改善が進んでおり、まだまだ不安定要素も多いが、日本と中国は経済面では協力関係にあり、関係が改善すれば経済的な利益は大きくなるはずで、さらなる関係改善に期待したいところだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)