統計学――それは、事象と事象の関連(相関関係)を割り出し、その結びつきの理由(因果関係)を考察する学問である。統計を駆使することによって、さまざまな社会現象や人々の行動、システムの傾向を読み取ることができ、隠れた問題の改善や将来の予測さえも可能となる。
そして今回、科学サイト「Live Science」が、統計データを駆使してついに現代アメリカ人にとって「もっとも死が身近な日」を割り出すことに成功したという。果たして、アメリカ人が一番死ぬ日は何曜日だったのか? 早速、詳細についてお伝えしよう。
■15年間の死亡データを本気で分析!
「Live Science」が分析に利用したのは、「アメリカ疾病予防管理センター(CDC)」が一般に公開している統計データだ。そこには、1999~2014年の期間に命を落とした全アメリカ人の死因が記録されており、CDCが運営する「CDC WONDER」のサイト上で誰でも入手することができる。なお、データは性別や人種、住居別などさまざまな属性別で提供されているが、今回「Live Science」が用いたのは、それらを一切加味しない「死因別の死者数」を単純に網羅したデータとなる。
さて、過去15年間におけるアメリカの死者数は、実に3900万人を超える。そして、この“死の統計データ”から判明したのは、曜日によってアメリカ人に降りかかる死の危険が異なるという意外な事実だった。ちなみに、アメリカ人の死因は主なもので心臓病、ガン、慢性下気道感染症、事故、発作、アルツハイマー病、糖尿病、インフルエンザ、肺炎、腎臓病、そして自殺などであるが、ある曜日にこれ以外の死因が突如として現れるような傾向は見られなかったという。なお、今回は死因を、心臓発作、自動車事故、銃火器、ドラッグの過剰摂取のみに絞った表が公開されている。
■アメリカにおける“死の傾向”が見えてきた!
では「Live Science」が割り出したアメリカ人死者数の変化を、曜日別、死因別で見ていこう。
【表はコチラ→http://tocana.jp/2016/04/post_9537.html】
・ 月曜日は、ほかの曜日と比べて心臓病で命を落とす人がもっとも多くなる。これは性別や年齢にかかわらず同様の傾向が見られるという。週の始まりに、ストレスを抱えている証拠だろうか?
・ 火曜日は、ほかの曜日と比べてインフルエンザや肺炎で死ぬ人がもっとも多くなるが、交通事故による死者数は、逆にもっとも少なくなるという。
・ 週の真ん中である水曜日は、死者数もほかの曜日と比べて中間の値を示すという。慌ただしい週の始まりを過ぎ、人々がごく普通の暮らしを送っている結果だろうか?
・ 少しずつ週末気分が高まってくる木曜日だが、心臓発作、糖尿病、そして銃火器で死ぬ人が最も少なくなる。
・ もっとも死者数が多いのは、週末の土曜日と日曜日だ。自動車事故や銃火器、さらにドラッグの過剰摂取による死者数がピークを迎える。週末にハメを外しすぎた結果、何らかのトラブルや予期せぬ事故に巻き込まれてしまうのかもしれない。
さて、結果を総合するとアメリカ人にとって「もっとも死が身近な日」は、週末から週の頭にかけてといえそうだ。なお今回の分析で明らかになったのは、あくまでもアメリカ人が何曜日にどのような死因で命を落とす傾向にあるのか、という事実の相関関係のみ。なぜこのような傾向が現れるのかという理由、つまり因果関係については憶測するしかない。しかし、これが一週間における人々の心理状態が影響した結果であるならば、日本についても同様の傾向が見られるのかもしれない。
※イメージ画像:「Thinkstock」より