日本の伝統的な工芸や技術には、その昔中国大陸から伝わったものが起源と言われるものが多い。それゆえ、欧米で日本の伝統工芸や伝統芸能が脚光を浴びるたび、中国のネット上からは「それは中国伝統のものなんだけど」という声が出てくるようである。
中国メディア・海南在線は20日、「日本人が中国の伝統を用いて、米国人を驚かせている」とする記事を掲載した。記事の「ターゲット」になった「伝統技術」のは日本の江戸時代に大きく発展されたと言われる「飴細工」だ。
記事は、飴細工の起源が中国にあり、宋の時代には「糖人」と呼ばれる飴細工が作られていたと紹介。その「糖人」が平安時代に日本に入り、江戸時代には「飴細工」と称されて流行し始めたと解説した。そして今、この伝統技術の消滅を危惧する日本の飴細工職人が精力的に活動を行っており、米ニューヨークの街頭や幼稚園などでその巧みな技を披露して好評を博したと伝えている。
その一方で、中国でもかつては「廟会」と呼ばれる縁日などで飴細工職人の姿を数多く見かけたとし、飴を熱いうちに吹いて膨らませることで胴体を作り、そこから細工を施したり、台の上に飴を垂らして蝶などの形を作る「中国式」の飴細工技術を併せて紹介した。そして最後に、これらの技術に「再び出会うことができるかは、分からない」として、その消滅を案じた。
どろりとした形の飴が職人の手にかかると、みるみるうちにさまざまな動物の形になり、まるで命を吹き込んだかのように生き生きとした飴細工の作品が出来上がる。その様子を子どもたちは食い入るように見つめ、大人たちもその「マジック」にしばしば引き込まれてしまう。中国伝統の文化だ、日本伝統の文化だという議論はさておき、飴細工のような技芸を絶やしてしまうのは実にもったいない話。
日本には伝統の手法を守りつつ、さらにそれを進化させようと努力している人たちがいる。「継承と革新」を一大テーマに掲げている中国でも、そのような人材が数多く出てくることを願いたい。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)蘇世一/123RF)