18禁マンガ誌「comicアンスリウム」を発行しているジーオーティーが告知している新雑誌「COMIC E×E(コミックエグゼ)」が、業界内でも注目を集めている。
というのも、この新雑誌は「COMIC X-EROS」(ワニマガジン社)のメンバーによって立ち上げられるというウワサが業界内で飛び交っていたからだ。
「COMIC X-EROS」といえば、2012年にコアマガジンの18禁マンガ部門の編集S氏が部下とマンガ家を引き連れてワニマガジン社に移籍、創刊した雑誌。
当時、移籍の理由として「コアマガジンで待遇改善を要求したものの受け入れられず、ワニマガジンが編集全員を社員にすることを確約したこと」が挙げられていた。だが、事情を知る同業他社の編集者に詳しく聞いたところ、ワニマガジンに移籍後、また新たな待遇をめぐる問題が起こっていたのだ。
「コアマガジンとワニマガジンは社風がまったく違います。コアマガジンは出勤時間ひとつとっても相当緩い。ところが、ワニマガジンは遅刻は厳禁だし、徹夜続きの校了後でも半休を取ることすら難しいような会社です。それでいて、経費の精算は用途のチェックが厳しいにもかかわらず、支払いが遅かったりするんです。仮払いが数十万円になってしまったという編集者もいましたよ」(前出編集者)
これに加えて決定打となったのが、経営サイドの編集への介入だ。
「これまで彼らが読者に支持される誌面を作ってきた背景には、編集者とマンガ家の関係性が濃密だったことが挙げられます。ところが、ワニマガジンでは表紙から内容まで経営サイドが介入してくるのも日常的。それで、ついに離れていくマンガ家まで出てきていたのです」(同)
一時は、ワニマガジン社が一強となるとも思われた18禁マンガ業界だが、それは画餅に帰したようだ。
ところが今回、ウワサと違うのは、編集部がごっそりと移籍したわけではないということ。ワニマガジン社移籍の際の旗振り役だったS氏は残留しているというのだ。
「6名が退職しましたが、ジーオーティーに移籍したのは数名。残りは一般マンガ誌などに行ったようです」
すでに4月発売の「comicアンスリウム」では「COMIC E×E」のパイロット版を収録し、やる気を見せているジーオーティー。対する「COMIC X-EROS」は、新卒や営業社員などを異動させて、必死に維持している状態だというが……。