「で、でたーw◯◯奴~www」的ネタが満載。ツイッターで24万フォロワーのマンガ家初の単行本 | ニコニコニュース

『ヘアドロップ』(アーノルズはせがわ/KADOKAWA)
ダ・ヴィンチニュース

 「で、でたーw◯◯奴~www」という言い回しがある。
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 ありがちな行動をする人を煽ったり、小バカにしたりするときに使われるネットスラングだ。多くの人が共感する“あるある”が、このテンプレートと組み合わさると、それだけで笑えてしまう。ツイッターマンガで人気のアーノルズはせがわの初の単行本『ヘアドロップ』(KADOKAWA)は、そんな「で、でたーw◯◯奴~www」的なネタが満載の4コママンガ集だ。

 たとえば以下の「トンカツ」という話。これは一言で表せば「で、でたーw名物料理がある店で違うメニューを注文奴~www」というネタだろう。

 カワイイ表情のキャラが、最後のコマだけリアルすぎる表情になっている所が何とも良い。なお、このスキンヘッドのキャラは作者。実際に自身もスキンヘッドだそうだ。

 次の「ドジっこ」は「で、でたーw一つ失敗しただけで自己嫌悪のスパイラル奴~www」という話だ。

 この「間違えて先に毒りんごと言っちゃう」という失敗は、元芸人でもある作者らしいネタと言えそうだ。また、一つの言い間違いから自己嫌悪の果てに、「整形しよう!」にまで辿り着く人は相当おかしいが、「何かこんな人いるなぁ」とも思わされてしまう。このように、「笑わせつつ共感もしてもらう」という部分を徹底して突き詰めているのは、ツイッターで活躍するマンガ家ならではだろう。

 なお、このように“ありがちな行動”を揶揄するネタを扱いながら、本作からは特に“読んでいて嫌な感じ”は漂ってこない。それは、主人公のキャラがかわいいこともあるが、「キャラも作者本人もスキンヘッドであること」というのが大きいだろう。

 作者は「“ハゲ”ではなく“スキンヘッド”」で、ハリー・ポッターの登場人物・ヴォルデモートのコスプレをきっかけに頭を丸めたことを明かしている。またYouTubeに公開された「Twitter漫画講座」では、ツイッター漫画のコツとして「主人公を自分にする」「見た目に特徴があるといい」「ハゲないとキャラクターが立たない。というのは冗談で……」というような話もしていた。そしてマンガの中では、ちょいちょい自虐の“ハゲネタ”もぶち込んでいて、作者自身が“強者”になることを上手く回避している……。

 実は、キャラの演出から批判に対する予防線まで、様々な部分が計算されている本作。ネット上での人気ぶりもうなずける一冊だ。

文=古澤誠一郎