中国国務院が発表した「中国の対外援助」に関する白書によれば、中国は2010年から12年にかけて、国外で156カ所のインフラ整備を行った。そのほかにも企業によるインフラ整備プロジェクトも含めれば、中国は世界各地でインフラ投資を行っていると言える。
日本もさまざまな形で対外援助を行っているが、開発途上国に対する援助は先進国としては当然の行いであり、その結果として援助を行った国では日本に対する感謝の気持ちも広がっていることだろう。一方、中国メディアの観察者はこのほど、中国はこれまで対外援助として多くの国に投資を行ってきたにもかかわらず、一部の国において「中国人はなぜか歓迎されていない」と主張する記事を掲載した。
記事は、中国にとっての対外援助は「責任を担う大国というイメージ作り」に有利であると同時に、中国の経済的利益にもつながると主張。当然、相手国にとってのメリットが最優先であることから、双方にとって利益のある行為であると論じた。
続けて、中国の対外投資ならびにインフラ整備は主に経済的利益と外交面の利益を考慮して展開されていると主張。中国国内では需要不足に起因する生産能力の過剰が問題となっているが、対外援助によって過剰な生産能力を活用することができると主張する一方で、外交面の利益については「相手国の法律や制度、文化に対する理解が不足しており、一部の権力者とだけ話をつけて、現地の一般人をないがしろにしているため、外交面の利益を損なうケースも多い」と論じた。
事実、中国が南米で手がけたプロジェクトでは土地の買収をめぐって現地の人びとと大きなトラブルになり、すでに3年以上の遅れが生じていると指摘。すでに現地では中国企業の仕事の進め方は信頼を失っていると伝えたほか、インフラ建設を担当する中国企業にとっての事業は「トラブルなく遂行すべき政治的任務」となっていると主張。こうした考え方で事業に取り組んでいる以上、中国企業にとっては中国政府のメンツを潰すようなトラブルは避ける必要があり、現地の労働者と中国人労働者の衝突を避けるために食堂や宿舎などを分けるなど、双方の交流を極力制限していると指摘し、こうした間違った対外投資が中国の外交面の利益を損ない、ひいては援助をしているにもかかわらず、中国人が歓迎されない事態につながっていると論じている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)