日本で集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法が3月末に施行された。日本と中国が直接戦うことはないはずだが、中国では日本が今後戦争に参加する可能性が高まったとして、警戒するよう呼びかける声が存在することは事実だ。
中国メディアの騰訊はこのほど、中国国防大学の教授の見解として、「日本の強大な工業力の背後にある軍事力を軽視してはならない」と論じる記事を掲載した。
記事は、日本で戦車をはじめとする兵器の製造にかかわる企業は1300社を超えると主張、海上自衛隊に配備されている護衛艦や戦闘機に搭載されるエンジンにいたるまで、日本では民間企業が製造できることを指摘しつつ、「民間企業がこれほど高い軍事工業力を持つということは恐ろしいこと」と論じた。
さらに、日本では兵器の生産は民間企業に委託されており、中国のように国有企業が担当するわけではないと指摘。さらに、日本企業はそもそも高い技術力を持つうえに、研究開発力も相当な水準であると伝え、世界最先端の大型旅客機に日本企業の部品が数多く搭載されていることは、それだけ軍事への転用も可能な技術を日本企業が持つことを意味することを指摘している。
また記事は、日本が仮に兵器輸出を大々的に推進した場合、世界の艦艇市場の60%を日本が抑えることになるとの予測もあると伝えたほか、日本はその気になれば3-6カ月程度で核兵器も製造できると主張。日本の強大な工業力の背後にある軍事力は「相当恐ろしい水準にある」と論じた。
記事は日本の工業力が軍事に転用されることに過剰とも言えるほどの警戒心を露わにしているが、中国ではこのような論調がごく一般的に見られるものだ。だがその内容は、中国の読者に向けて日本が「脅威」であると不必要に煽るものであり、自国の軍事力増強を正当化するための口実なのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)