タイムマシンの存在を信じたくなるゲーム機でした。
本日、SIEJA(ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア)からの重要なお知らせが発表されました。僕らのアイドル的存在だったPSP goは、部品の確保が難しいため2016年7月31日(日)をもって、アフターサービスの受付が終了するとのことです。PSP-1000、2000も2014年3月31日でアフターサービスが終了しているので、順当といえば順当なのですがやはり寂しい思いもあります。
PSP goは本体に16GBのストレージを内蔵し、小型化と高性能化を果たしたPSPの後継機!…というわけではなく、言うなればPSPのプラットフォームを利用して今後の携帯ゲーム機の姿を提案した可能性のひとつです。PSPのゲームメディアであった「UMD」を廃止し、ゲームをダウンロード販売へ。現代でこそダウンロード販売は一般的となりましたが、それを2009年の時点で提案し、実装し、発売してきたのです。
しかし、当時のダウンロード市場はまだまだ未成熟でした。全タイトルが購入できるわけではありませんし、それまでのUMDゲームも遊べません(遊べる仕組みも登場しましたが)。その結果、「まぁ…不便だよね」というところに着地。未来のゲームの姿を夢見て飛び立ったPSP go号は、わずかに飛んで不時着するという結果と相成りました。もしタイムマシンがあるのであれば、旅立つ前に誰かが言ってあげるべきだったのかもしれません「まだはやい」と。
まぁ、世間的にはそんな評価だったのですが、僕としてはすごく好きな子だったんですよ。
たとえUMDゲームが遊べなくても、周辺機器が全部買い直しになっても、充電・データ転送ケーブルが独自規格になって面倒になったあげく、わざわざモバイルバッテリーや普通のAC-USBアダプタじゃ充電できない仕様にしていたとしても。そして、正当な後継機であるPS Vitaが発売されてケーブルのコネクタ形状が似ているにもかかわらず互換性がなくて「なんで統一しなかったのよ!」と、さらにガッカリもしたとしても。
さて、どちらがPSPgoのコネクタでしょう?(正解は左)
PSPシリーズの中で唯一ゲームのレジューム機能が搭載され、いつでもゲームを中断できたのはPSP goだけです。スライド式で、カシャ!っと開いてコントローラが現れるところは機能美を感じさせられますし、折りたたみ時に時計が表示されるところなどは、最高のガジェット感でした。いや、今でも最高だと思っています。このスタイルは最高にクールです。
PSP goがやってきた未来は、まさに今の時代なのかもしれませんが、残念ながらサポート終了も目前です。しかし、その日が訪れたとしても、それがお別れではありません。ゲーム機の寿命はサポート終了時ではなく、僕らが不要と感じた時です。
机の中やおもちゃ箱には長らく電源を入れず、ACアダプタに繋いだり乾電池を交換しなければ起動しないようなゲーム機も多いことでしょう。でも、そこに居るということは、彼らは眠っているだけなのです。僕らが火を入れる時を、静かに待っているのです。
また遊びたい。いつか遊びたい。
そういう思いがある限りゲーム機は死なないのではないでしょうか。ゲーム機はゲームと共に思い出を与えてくれます。どうぞ、今後も大切に愛してあげてください。
なお、過去のお知らせによると、2016年3月31日(木)でPlayStation StoreからPSP単体でのコンテンツ購入サービスは終了していますが、PCなどを利用して購入し、PSPに転送して楽しめます。また、購入済みのコンテンツに関しては引き続きPSPで再ダウンロードできるようですよ。
source: SIEJA
(小暮ひさのり)