近年、中国では「お米」を巡る議論が絶えない。日本の電子炊飯器の素晴らしさを訴える文章があれば、「そのぐらい中国でも作れる」という声もある。また、炊飯器よりもお米自身の質に差があるとする意見もある。中国メディア・央広網は23日、中国国内で日本の米作工程を完全移植した「銀シャリ計画」が発表されたと報じた。
記事は、中国国際貿易学会国際ブランド管理センターがこのほど、土地づくりや製品のDNA検査などを含む米作の工程を日本から学んだ「銀シャリ計画」を発表したと紹介。
同センターが計画に先立ち、「普通の飯は白飯、ちょっといいのは米飯、一番おいしいのが銀シャリ」とされる「銀シャリ」の米を求めるべく中国東北部を視察したところ、日本では3~4年に一度品種が更新されるのに対して、現地の米は14年前の品種であったことを発見したと伝えた。そして、米の質を高め「中国人の中国産米に対する信用を取り戻す」べく、品種・土壌・栽培・保存・販売・ランク付けまですべての工程において日本の理念と基準を持ち込んだ「銀シャリ計画」を作るに至ったことを説明した。
また、生産から販売までにおける「インチキ」を防ぐべく、選ばれた優良米には特殊なラベリングを施すほかに、仕入れを行う仲買商の手を経由することなく直接倉庫から消費者へと配送する、クローズドな販売体制づくりを行うとしている。
さらに、日本のやり方に倣って中国国内で20人の「中国米飯鑑定師」を選び、科学的なランク付けの上で価格の提案をする予定であることも紹介。同センターが「栽培から流通、保管、そしてランク付けまで、すべて1つの基準を厳格に用いることで、われわれの米がどのように作られているかを知ってもらいたい」としていることを併せて伝えた。
制度や計画を立てることも重要だが、それ以上に問題になるのは、立てた計画がどこまでしっかりできるかという点だ。「すべて日本の工程を取り入れた」ということで、一部ネット上で反発が出るかもしれない。しかし、それでよりおいしい「銀シャリ」が実際に食べられるようになれば、文句を言う人もいなくなるだろう。
また、あまりに日本のやり方に固執するようでは、きっと計画は上手く行かないだろう。現地の状況を鑑みながら、自分たちのスタイルに合ったやり方に変えていく取り組みが必要である。そのベースとなるのが、昨今中国でクローズアップされている「匠の精神」なのではないだろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)