ロック歌手ジャニス・ジョプリンのドキュメンタリー映画「JANIS:LITTLE GIRL BLUE」が、「ジャニス:リトル・ガール・ブルー」(配給:ザジフィルムズ)の邦題で、2016年9月より、シアター・イメージフォーラムほか全国での公開が決定した。
誰にもまねできないソウルフルな歌い方と、心をわし掴みにする特徴的なハスキーボイス、ロックスターとしての逸話の数々、そして女性としての自由奔放な生き方で、今なお圧倒的な人気を誇る偉大な女性シンガー、ジャニス・ジョプリン。本作は、昨年のヴェネツィア映画祭でのワールド・プレミアを皮切りに、トロント映画祭、ロンドン映画祭など各国の映画祭で絶賛され、日本での公開から待ち望まれていた作品だ。
テキサスの田舎町でごく普通の中流家庭で生まれたジャニスは、容姿へのコンプレックスや元来の内気で繊細な性格から学校になじめず、他の生徒から孤立を深めていた。しかし、やがてブルースやフォークに出会い、自分でもバンドを組み歌い始める。そして1963年、フラワー・ムーヴメントの中心地サンフランシスコへ単身趣き、そこで圧倒的な歌唱力から歌手としての存在感を高め、ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーに加入。1967年のモンタレー・ポップ・フェスティバルでのライブで一夜にしてスターダムにのし上がった彼女は、1969年のウッドストック・フェスティバルへの出演、1970年の列車に乗ってカナダを横断しながら行うツアー「フェスティバル・エクスプレス」など精力的に活動し、1960年代後半、公民権運動やベトナム反戦運動、ウーマンリブなどカウンターカルチャーが吹き荒れる激動の時代の象徴として一躍、大きな脚光を浴びるようになった。
しかし、1970年10月4日、アルバム「パール」のレコーディング中にヘロインのオーバー・ドーズにより、27歳の若さで死去している。
本作は遺族の全面協力により、バンドメンバーや親しい友人、昔の恋人、家族といった生前ジャニスの最も身近にいた人々からのインタビュー映像と、故郷を離れロックスターとして大きな注目を浴びるようになっても、変わらずにずっと書き続けていた両親や兄弟、恋人へのパーソナルな手紙を軸に、ロックスターとしてのジャニス・ジョプリンではなく、一人の女性としての“ジャニス・ジョプリン”が立体的に浮かびあがってくる構成だ。
監督は、社会性の強いテーマをエッジの効いた作風で描き高い評価を得て来たエイミー・バーグが務め、同じ女性としてジャニス・ジョプリンの素顔を丁寧に描き切った。製作は、監督としてアカデミー賞受賞経験もあるドキュメンタリーの巨匠アレックス・ギブニーが手がけた。
映画「ジャニス:リトル・ガール・ブルー」は、9月よりシアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー。