宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月28日、通信が途絶していたX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)について、復旧に向けた活動は取りやめると発表した。
ひとみの異常事態発生後、JAXAは対策本部を設置し、不具合の全容解明を行うとともに、衛星の状態について技術的に検討してきた。
この結果、「物体の分離に至る推定メカニズムについてシミュレーションを含めた解析の結果がほぼ確定し、構造的に弱い部位である太陽電池パドルが両翼とも根元から分離した可能性が高いこと」、「物体が分離した後も電波を受信できていたことを根拠とし、通信の復旧の可能性があると考えていたが、得られた電波の周波数が技術的に説明できないこと等から、受信した電波はASTRO-Hのものではなかったと判断されること」という2つの結論に至ったとしている。
また、複数の海外機関からも、太陽電池パドルの両翼分離を示唆する情報を得たことから、今後衛星が機能回復することは期待できない状態にあるとの判断に至ったという。
JAXAは、「今後、今回の異常に至った原因究明に専念することとし、ASTRO-Hとしての設計/製造/検証/運用の各段階において今回の事態に至った要因を調査し、背後要因も含めた原因を徹底的に究明いたします」とコメントしている。
詳細については、後ほど本誌にてレポートを掲載する予定なので、そちらをお読みいただきたい。
(周藤瞳美)