「大麻自体に罪はない」大麻を知り尽くしたラッパーが語る日本の事情 | ニコニコニュース

日刊SPA!

 先の参院選では新党改革から「医療大麻の推進」を掲げて元タレントの高木沙耶が出馬した。落選したものの、このようなテーマが政治の場に持ち出されるようになった時代の到来を感じさせる。だが、実際の日本の大麻事情はどうなのか? 大麻を知り尽くした男に聞いた。

 生粋のハードコアラッパーとしてストリートの最前線で生き抜くD.O氏。10代から真剣に大麻と向き合い、日本でも大麻を知り尽くしたキーパーソンの一人として挙げられる。そんなD.O氏が熱を込めて語るのは「大麻は決して敵ではない」ということ。数あるドラッグの中で大麻だけは唯一死者を出したことがなく、むしろ有用性の高い側面もたくさんあると言う。

「日本は侍の時代から大麻を嗜む習慣が存在していて、現在も『麻ボケ』という言葉でその文化の名残りを僕らは知ることができる。では、なぜ今禁止されているかといえば、現段階では政治的に合法化できない日本の立ち位置があるというだけの話。

 他の先進国では普通に医療の現場でも扱われていて、末期がん患者や精神を病んだ人たちを癒してくれている。国によっては嗜好品としても解禁しようという流れになっているくらいだ。しかも大麻産業はものすごいポテンシャルを秘めていて、もし解禁されれば、今の経済の主流になる可能性だってある」

 とはいえ、日本ではドラッグとして扱われている以上、人に害をもたらすこともあるはず。精神に影響をもたらす成分といわれるTHCについて聞くと、大麻栽培の進化の歴史に紐づいていると言う。

「’90年代あたりからハイドロと呼ばれる化学肥料を用いた人工の水耕栽培方法が確立されたことでTHCの含有量が劇的にアップした。’00年代に入ってからはアイソレーターと呼ばれる遠心分離法でTHCを抽出できるようになり、現在でさらに進化してワックスやオイルとして商品化され、含有量も99.9%にまで高められるようになっている。ここまでくるともう合成麻薬と認識する人もいて、取り締まる法律も大麻取締法の範疇ではなくなるようだ。個人的には成分100%になると、その大麻の品種固有の味や香りがなくなってしまうので文化としての『風流さ』がなくなっちゃうと思っているけど。

 たしかに種類によっては怠惰になることもあるかもしれないけど、アルコールだってメシだって度を超せば同じでしょ。僕自身は大麻を合法化しろとか、良し悪しの議論するつもりなんてまったくなくて、ただ『僕には必要で、僕は好きだぜ!』というだけ。

 日本でダメならダメでいい。それなら、合法な場所で楽しめばいい。

 でも将来、日本も僕らみたいな野郎がオヤジになる時がくるから、そんな感覚も変わってくるかもしれないメ~ン!(笑)」

【D.O氏】


伝説の「KAMINARI-KAZOKU.」の一員として活躍後、「練マザファッカー」のBOSSとしてシーンを騒がす。EP『TOKYO RAP CARTEL』が絶賛発売中。現在、「再び世間を騒がす準備中」

※現在発売中の『週刊SPA!』7/12発売号では、「大麻のいま in the world」という特集を掲載中。

<取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>