ポケモン、Niantic・任天堂によるスマートフォン向けアプリ「ポケモンGO」が、日本に先駆けてサービスを開始した米国やオーストラリアなどで、爆発的な人気となっている。
「ポケモンGO」のプレイヤーは、自らの足で歩いて、スマホの画面を通して見る世界に潜んでいるピカチュウなどのキャラクターを探す。ポケモンは、公園や建物、地下鉄の駅など、さまざまな場所に潜んでいる。
社会現象とも呼べる人気となっている一方、問題も起きている。報道によると、米国では、各地でスマホの画面を見ながら、町をうろうろする人が多く、警察に職務質問されるケースもあるようだ。立ち入り禁止場所に入る人もいて、警察などが注意を呼びかけている。
また、ワシントンにあるホロコースト記念館にもポケモンがいて、ユーザーたちがポケモン目当てに訪れるため、記念館が「ここはゲームをする場所ではありません」と報道を通じて呼びかける事態にもなっているそうだ。
近くサービスが始まる日本でも、大ヒットとともに、様々な社会問題が起きることが想定されるが、どんな法的問題が想定されるのだろうか。齋藤裕弁護士に聞いた。
●過失傷害罪、住居侵入罪、威力業務妨害罪・・・「もし、ポケモンを探すため、歩きスマホをしていて人にぶつかり、ケガをさせた場合、損害賠償の対象となる可能性があります。ケガの程度などによっては、過失傷害罪(刑法209条、30万円以下の罰金等)等に処せられる可能性もあります。歩きスマホは事故につながる危険性の高い行為ですから、それ以外の場合より、法的責任を問われる可能性は高いと言えるでしょう。
また、ポケモンを捕獲するために他人の土地に入り込んだ場合には、住居侵入罪(刑法130条、3年以下の懲役または10万円以下の罰金)等に該当する可能性があります」
ゲームのために深夜徘徊している人がいることも海外で問題になっているようだが、犯罪になるのか。
「それ自体は犯罪とは言えないとしても、日本でも職務質問の対象になることがありうるでしょうね」
もし、商品を購入するつもりもないのに、ポケモンを捕獲するという目的のために、店舗などに入った場合、どんな問題が起こりうるのか。
「実際に多くの人が押し寄せて店舗の営業を妨害した場合や、他の人も押し寄せることを認識しながら立ち寄った場合には、威力業務妨害罪(刑法234条、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)に該当する可能性や、民事上の損害賠償義務が発生する可能性もあります」
大ヒットの予感から、日本でも期待の声が高まる「ポケモンGO」。果たして、どんな社会現象が起きるのだろうか。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
齋藤 裕(さいとう・ゆたか)弁護士
刑事、民事、家事を幅広く取り扱う。サラ金・クレジット、個人情報保護・情報公開に強く、武富士役員損害賠償訴訟、トンネルじん肺根絶訴訟、ほくほく線訴訟などを担当。共著に『個人情報トラブル相談ハンドブック』(新日本法規)など。
事務所名:新潟合同法律事務所
事務所URL:http://www.niigatagoudou-lo.jp/