天皇陛下が、天皇の地位を生前に皇太子さまに譲る意向を宮内庁関係者に示されていることが13日、分かった。同庁が近く陛下の意向を公表することを検討しているという。
82歳の陛下は、憲法上の国事行為のほか、被災地訪問など公務を精力的にこなしている。関係者によると、現在、健康上大きな問題はないが、高齢となる中で、今後数年以内に譲位をしたいとの意向を周囲に示したという。
現在の皇室典範は皇位継承について「天皇が崩じたときは、皇嗣(こうし)が、直ちに即位する」などと規定。天皇の生前退位を定めた規定はなく、今後国会などで典範改正を含めた議論が必要となる。
陛下は1989年の即位後、皇后さまと公務で国内外を訪問。天皇としての外国訪問は91年の東南アジア3カ国が最初で、92年には歴代で初めて中国を訪れた。戦後60年の2005年にはサイパン、戦後70年の15年にはパラオ、今年はフィリピンを訪れ、戦没者を慰霊した。
91年の雲仙・普賢岳噴火をはじめ、95年の阪神大震災、11年の東日本大震災など、被災地を慰問。今年も3月に復興状況視察のため福島、宮城両県を、5月に熊本地震の被災地を訪れた。
心臓バイパス手術を受けた12年、79歳の誕生日会見で、公務について「今のところしばらくはこのままでいきたい」と話し、15年の82歳の誕生日会見では、「年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました」と老いについて率直に話していた。
宮内庁は今年5月、皇居で人と会う公務を減らす見直しを発表。両陛下は11日から14日まで、神奈川県葉山町の葉山御用邸で静養している。