今、「医療不信」が話題だ。各週刊誌で取り上げられ、賛否を巻き起こしている。だが、一般の患者はどのように医者や医療に不信感を抱いていくのか?
危険な薬を煽る記事が多くあるが、最も危険な行為はそれを鵜呑みにして突然、薬を断つ行為だ。就職でのトラブルが原因で精神科に行き、2年前うつ病と診断された岩本哲夫さん(仮名・32歳・無職)はその典型といえる。
「精神科で抗うつ薬のパキシルを処方されたことで症状が一時的に緩和、転職にも成功しました。ただ、仕事中に気分が高揚したり、背中の鈍痛やめまいに襲われたりといった症状が出始めたのです」
岩本さんが症状を訴えるも同じ薬を処方されるだけ。徐々に「医師への不信感が芽生えた」という。
「おかしいと思って、別のクリニックを回ってみたんです。そこで、今度は抗うつ剤のSSRIを処方させられました。ただ、一向に鈍痛などの症状が収まる気配はなかった」
その後、ネットの情報などから「薬に意味はない」と判断した岩本さんは勝手に断薬をしてしまう。
「今までになく強い耳鳴りや筋肉のけいれん、過呼吸が起こるようになり、病院に緊急入院されました。当然、仕事はクビに。今はまた別の抗うつ剤を飲んでいますが、これが正しいのかもわかりません」
ネットに踊らされたとはいえ、その現状はあまりにも可哀想だ。
★高橋宏和先生(内科認定医)の診断
勝手な断薬は絶対NG! 医師と相談して減薬を
「うつ病の薬を急にやめるのは本当に危険。副作用の危険を煽る記事を鵜呑みにして勝手に服用をやめるのは絶対にやめてください。服用中の薬の効果が感じられず、量を減らしたいなら、医師に相談してください」
【高橋宏和氏】
※現在発売中の『週刊SPA!』7/12発売号では、「徹底検証 過熱する[医療不信]が危ない」という特集を掲載中。
<取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>