FXやアフェリエイトなど、インターネットを利用した副業が話題になっている。サラリーマンの給料が上がらないといわれる昨今、自分の身は自分で守ろうということなのだろう。これはこれで一つの考え方として正しいのかもしれない。だが、こんな場合はどうだろうか。
「教えて!goo」に寄せられた「仕事中に暇になってしまった時の対処法を教えて下さい」という質問に寄せられた回答に「アフィリエイトは正直そんなに儲かりません。どちらかと言うとこっそりやっているオークションの方が儲かっています。…(中略)…そんなこんなでいろんなことをしてると割りと時間が経過します」(red_kidsさん)という回答を発見した。
これは業務時間中に副業をしているということだが、少しやりすぎではないだろうか。最悪の場合、解雇になるリスクもある。では、仕事中に副業をしてしまう人の心理とはどのようなものなのだろうか。心理学者の内藤誼人先生に聞いた。
■仕事への意味づけがやる気をアップさせる!
なぜ、いけないことだとわかっているのに、勤務中に副業をしてしまうのだろうか。
「自分の仕事に対しておもしろさを感じていないからでしょう。これは副業をすることだけに現れるのではありませんが、仕事にやりがいを感じていない人ほど、さぼったり手を抜いたりする傾向があるようです。会社への忠誠心もなくなっていきますから、本来の業務と無関係のことをしても罪悪感がなくなっていくようです」(内藤先生)
確かに、やりがいは仕事のモチベーションを上げるうえで大切な要素の一つ。だが、会社側が「やりがいを見出しなさい」と言っても、なかなかうまくいかないような気がする。どうすれば、社員に仕事のおもしろさを感じてもらえるのだろう。
「自分の仕事の意味を考えさせるといいでしょう。以前『地図に残る仕事』というキャッチフレーズを使った建設会社がありましたが、これは応用が利くと思います。例えば、ボルトを作る仕事なら、『これは単なるボルトではない、大きな建物を支える大切なボルトだ』と思わせるようにすれば、やりがいを感じてもらえるかもしれません。このように、自分の仕事の重要性を認識させることが大切だと思います」(内藤先生)
相手がやりがいを見出せるような視点を持たせるのは大切なこと。モチベーションが下がっている同僚がいたら、ぜひ試してみたい。
■勤務時間外の副業は本業への意欲を上げる
ところで、就業時間の内外に関係なく、そもそも副業は本業にどんな影響を与えるのだろうか? 本業より副業の方が楽しくなってしまうこともあるのでは?
「そのような危険があるからこそ、副業を禁止している会社が多いのだと思います。ただ現在は、大手でも副業を承認している企業があるようです。中には、職種を問わずOK――つまり、本業と競合する職種も認められる場合があるという話を聞いたことがあります」(内藤先生)
ではなぜ副業を認めるのだろう?
「業務以外のことに目を向けることで視野が広がりますよね。また、何かを学ぼうとする姿勢は人を積極的にします。その結果、本業に対してもプラスの影響があると、企業側は考えているのでしょう」(内藤先生)
そうだとすると、副業は社員側と企業側にある程度のメリットをもたらすものなのかもしれない。だが、やはり本業の業務時間中に行う副業は考えものだ。自分の仕事にしっかり意味を見出し、本業と副業の時間を分けることが大切だろう。
●専門家プロフィール:内藤 誼人
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)