先日強い勢力をもって台湾南部に上陸し、被害をもたらした台風1号。台湾では、その進路予測に対する疑問の声と同時に、不確かな予測に基づいて台北市で出された「台風休み」の是非をめぐる議論が起こったようだ。台湾メディア・中国時報電子版は11日、「台風休み」が出る台湾は幸せであるとする日本人ネットユーザーの意見を紹介する記事を掲載した。
記事は、台風の襲来に備えて台北市では学校や会社が休みになったものの、結局台風は台湾南部を直撃したため「空振り」となったと説明。そのうえで、台湾在住の日本人ネットユーザーが「台風休暇とは、日本人にしてみればとても思いやりのある文化だと思う」とし、自身が大阪で仕事をしていた際に「台風で休みになったことは1度もなかった」と語ったことを伝えた。
このネットユーザーはさらに、台風が来れば交通機関がストップしてしまうため「前もって会社に行く」ことが求められると説明。日本企業は「台風は予測できる事情」であると認識されるため、当日遅刻をすれば上司から叱られる可能性すらあると述べている。
記事は、台湾のネットユーザーから「日本は仕事のプレッシャーが半端ないな。やっぱり観光で行くに限る」、「本当にお疲れさまだ」、「日本の労働者の権利がより高まることを心から願うよ」といった感想が寄せられる一方で、「日本でだって台風休みはある。すべての会社がこんな残忍なわけではない」、「台湾だって、サービス業を中心に台風でも休めない人はいる」といった意見も出たことを紹介した。
台湾のネットユーザーが指摘するとおり、記事で紹介された日本人ネットユーザーの話はあくまでも個人の体験談に過ぎない。もちろんやむを得ず帰宅せずに会社に泊まる、会社付近の宿を取るといった策をとって当日の出社を確保するケースもあるだろうが、昨今では多くの企業において台風襲来前の帰宅、通過後の出勤と認める、あるいは強制する措置が取られている。社員の身の安全を確保することが先決なのだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)