人事院が8月にも国会と内閣に行う2016年給与改定勧告は15日、国家公務員の月給を14年、15年に続いて3年連続引き上げる公算が大きくなった。勧告の基礎資料となる民間給与実態調査(民調)の結果を集計中だが、4月時点の公務員月給は民間を下回る見通しであるためだ。
ただ、民間企業の賃上げの伸びが鈍くなっていることなどから、公務員と民間企業の給与を比較した官民格差は前年の1469円(0.36%)よりも縮小する可能性がある。
人事院はどの程度の格差が生じるか見極めた上で、民間企業の基本給に当たる「俸給」を定めた俸給表の改定に踏み切るか、諸手当の改定にとどめるかなど慎重に判断するものとみられる。
今年の民調は5月1日から6月17日まで、正規の従業員50人以上の事業所のうち約1万2000カ所を抽出し、給与や諸手当の支給状況を確認した。
日本労働組合総連合会(連合)が発表した春闘の最終集計によれば、定期昇給分を含む平均賃上げ率は2.00%(前年2.20%)。大手企業対象の経団連の最終集計では2.27%(前年2.52%)となった。民調と対象や規模が異なるものの、いずれも賃金の上昇が見られた一方で、伸びは前年より縮小している。
一方、国のボーナス(期末・勤勉手当)に関して、今回の勧告に反映されるのは民間企業の15年冬分と16年夏分。企業の夏のボーナス支給額が勧告内容を左右する。15年の公務員ボーナスは年間4.20カ月だった。