産経新聞が7月11日に報じた「ニート戦力化へ採用活発化 東京中小企業家同友会が人手不足対策」という記事がネットで話題を集めた。人手不足対策の一環として、一部の会社がニートを戦力として活用できないか模索し、人材起用を開始したというのだ。この“ニートの戦力化”を巡って賛否が吹き荒れている。
記事では、アルバイトとして試験的にニートを受け入れた、ある建設防水資材の販売施工を行う会社が紹介された。建物屋根の掃除やウッドデッキのタイル除去など、防水工事の下準備に、1回につき10人、延べ30人が作業をこなしたという。同社の社長は「戦力として確かな手応え」を感じたとコメントしている。Twitterでは、
「女性活用よりニート活用を先にやるべき!と前々から思っていました」
などニートの活用を推奨する前向きなコメントが多く寄せられた。一方で、こうした取り組みが広がった際に、悪用を考える企業が出るのを懸念する声もあり、
「労働力を安く調達するために悪用されないようチェックは必要だろうね」
といった意見も見られた。
また、ニートとは厚生労働省の定義に従えば、総務省が行っている労働力調査における、「15~34歳で、非労働力人口のうち家事も通学もしていない人」。今回の戦力化の対象が若年層という点から、
「ニートって34歳までしかカウントされないんだね。50歳でもいると思うんだけど」
と、35歳以上の無業者について気に掛ける声も上がっている。
東京中小企業家同友会は、10月には若者を交えた討論会の実施を予定しており、本格的な採用活動ルールを作っていくという。内閣府の平成27年版「子ども・若者白書」によればニートは56万人。今回、ニートの戦力化が賛否を呼んだが、このルールの整備次第では、ニートという“隠れた人材”が大きく化けるかもしれない。
※当記事は2016年07月14日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。