『ポケモンGO』が全世界でセンセーショナルを巻き起こしている。
このゲームの斬新性は、ひとえに「現実世界に出てプレイする」という点だ。GPS機能を使い、街中にポケモンがいるという設定を作り出す。今までそうしたゲームがなかったというわけではないが、ポケットモンスターという世界的タイトルでそれをやったのが初めて、ということだ。
だが、これは言い換えれば「ながらスマホユーザーが急増した」ということである。ながらスマホの危険性は全世界で指摘されていることだが、此度のポケモンGO配信によりそうした事故が相次いでいる。
もはや世界は、ポケモンGOを「ただのゲーム」とは考えていない。
事故が多発!
ポケモン探しをしながら自動車を運転し、事故を起こしてしまった。
字面で書けばまったく信じ難いことが、ニューヨーク州で実際に起きている。幸いこれは自損事故で、人的被害はなかったものの一歩間違えれば大惨事につながっていた。
また、ポケモンGOに熱中していた15歳の少女が車にはねられるという事故も発生している。
あるところでは崖から落下し、またあるところでは池にはまり……ということが全米各地で発生し、警察当局がポケモンGOに対する注意喚起を発表するほどだ。
「祈りの場」でのポケモン探しが問題に
また、「やる場所」についても問題が出ている。
ポーランドにあるアウシュビッツ強制収容所にも、ポケモンが出現しているという。ポーランドではまだポケモンGOが正式配信されていないとはいえ、アメリカ版アプリのダウンロードは難しいものではない。
アウシュビッツではナチスによって連行されたユダヤ人や政治犯、カトリック聖職者、同性愛者などが虐殺された。いわば追悼の場所であり、来館者には相応のマナーが求められる。
そうした「負の遺産」は、世界に数多く存在する。日本では原爆ドームと平和記念資料館がそれに当てはまる。これからポケモン目当てに訪れる者も当然増えるはずで、そのような来館者に対してどう注意を呼びかけるのかが課題になっているのだ。
「マナーの自覚」が課題
ポーランドは今の時点で正式配信国ではないということを書いたが、世界ではこうした「フライング」が発生している。すなわち任天堂による正式配信の一報を待ち切れず、GoogleやAppleの外国IDでポケモンGOをダウンロードしてしまうという行為だ。
インドネシアではそうしたポケモントレーナーが相次ぎ、週末のジャカルタはポケモン探しの一行で賑わっている。中にはポケモンGOのプレイ動画を配信するゲーム実況者もいるほどだ。
現地のポケモン人気は沸騰するばかりだが、案の定事件も発生した。西ジャワ州チレボンの軍施設に、ポケモン目当てのフランス人が侵入したのだ。
もし我が国の自衛隊の施設にそうした外国人が侵入してきたら、防衛省も総理大臣も沈黙を保つことはできないはずだ。また、国土防衛を担う重要施設をゲームの舞台にしてしまうということにも問題がある。
もちろん、ゲームそのものを規制するというのは論外だ。今やるべきはユーザーに対するマナー遵守の呼びかけであり、同時に企業側の配慮を促すことである。ユーザーがマナーを自覚し、企業に対して「よりよいフィールドを指定する」という動きが起きれば、ポケモンGOは新たなビジネスチャンスを生み出すに違いない。
【参考・動画】
※ Teen hit by car blames ‘Pokemon Go’ – YouTube
※ Auschwitz museum warns against playing “games” on premises – YouTube
※ Ayo Main Pokemon GO! (1) DAPAT BANYAK POKEMON!! (Dengan Tips Memukau di Ending) – YouTube