彼はセガサターンから光学ドライブを取り去ったのです。
ご存じのとおりセガサターンはセガが発売した家庭用ゲーム機。ゲーム市場をめぐりPlayStationと激しい戦いを繰り広げた名機です。日本でも根強いファンが多いハードですが、発売から22年もたった今、そのクラックに成功した人物が現れました。
こちらはdebugliveの動画。Dr Abrasiveと名乗る男性が、セガサターンのゲームをUSBメモリから起動できるゲームローダーを作り上げています。
サターンのソフトウェア開発に興味を抱くものの、セガサターンのゲームCDにはコピープロテクトがあり、ただCD-Rに複製しただけでは動かせません。特殊なチップを使うことでプロテクトは回避できますが、Dr Abrasiveは背面にある拡張スロットに注目したようです。
そう、ビデオCDを再生できるムービーカードスロット。
一般的にはムービーカードをセットすることで、MPEG再生に対応し、一部ゲームのムービーが高画質で楽しめるようになる拡張ポートです。対応ゲームは少ないものの、「LUNAR シルバースターストーリー(MPEG版)」や「ガングリフォン」など、人気タイトルでは一部ムービーを高画質(と言ってもMPEG画質ですが)で楽しめます。
通常であれば、MPEGデコーダーとしてのスロットですが、研究の末、ここからゲームのデータを読み込めることを突き止めたDr Abrasiveは、CDを使わずにゲームデータを読み込むためのアダプター「Saturn Satlator」を開発。このアダプターを利用することで、ゲームから吸いだしたイメージデータをサターン実機で遊べます!
動画内ではUSBメモリ内を参照し、見事に「デイトナUSA」を起動する様子が収められています。市販ゲームのイメージデータの他、自作したゲームなども動かすことも可能と、まるで開発機。彼はこの「Saturn Satlator」の製品化も検討しているようです。
セガサターンは発売から22年が経ちました。
せがた三四郎は死に、セガは家庭用ハードから去りました。可動部であるROMドライブ・ユニットは確実に劣化しているはずです。ピックアップレンズがヘタレて読み込み不良を起こしているハードも多いことでしょう。
しかし、メーカーではすでにセガサターンの修理を受け付けていません。
そういう意味では、彼のクラックは非正規な手法でありながらも一定のニーズがあるのかもしれません。
セガサターンの思い出は、今もこの胸に、手に、耳に。我が家のリビングには、中学生当時に買ったセガサターンが飾ってありますが、しばらく火を入れていない彼はまだ動くのでしょうか? フタを開けたら、ピロリロリンと声を上げるのでしょうか?
そして、僕たちはいつまでセガサターンで遊ぶことができるのでしょうか。
source: YouTube
(小暮ひさのり)