BitTorrentの名前は今でも著作権侵害を思い出させるものかもしれないが、BitTorrent社はピア・ツー・ピア技術がコンテンツの合法的な配布手段として利用できるようにするための努力を続けてきた 。BitTorrent社によれば、同社の製品には1億7千万人以上の利用者がいるということだ。本日、コンテンツクリエイターたちが、観客である私たちの注意を惹くことができるようにすることを目指して、ストリーミングアプリケーションBitTorrent NowがiOSとApple TV向けに公開された。
このアプリはまず 6 月にAndroid向けに公開され、iOS向けのリリースはすぐに行われるとアナウンスされていたものだ。
SoundCloudのような音楽ストリーミングアプリと同様に、BitTorrent Nowはアーティストたちに作品をBitTorrentのプラットフォームへアップロードさせ、多くの人たちの目に触れる機会を与える。とはいえBitTorrent Nowが他の多くのサービスと一線を画す点は、コンテンツの種類を1種類に限っていないところだ。歌、映像、ミュージックビデオ、その他をインディーズのクリエイターたちから受け入れるのだ。
モバイルでは、コンテンツはBitTorrentのサーバーによって従来のやり方で配布されていたが、同社は、ピア・ツー・ピア技術でのサポート構築に取り組んできた。ただし、デスクトップでも利用可能であるBitTorrent Nowのネットワークは、同社のウェブサイトの説明によれば、「ファンによって支えられている」そうである。つまり、あるコンテンツを最初にダウンロードした人は、それをダウンロードする他の人々のための配布ポイントになるということだ。
とはいえ同社は、モバイルアプリはしばらくは、クライアント/サーバ・システムを使用すると述べている。P2Pコンポーネントが開発中なので、これは「一時的」な措置である。
BitTorrent Nowの上で現在主流の有名アーティストを見かけることはほとんどない。ここは新進気鋭の才能に出会う場所なのだ。とはいえ、何組かの注目株も含まれてはいる。The Onion、Super Deluxe、IHEARTCOMIX、Major Lazer、Flume、G-Eazy、A24 Films、Drafthouse Films、David CrossそしてThe FADERなどがその例だ。
アプリを使って、ユーザーは自分の好きなアーティストをフォローし、プレイリストを作成し、BitTorrentコミュニティ全体で流行っているものを知り、推奨作品リストを受け取ることができる。また、「rock」、「house」、「mixtape」、「folk」、「book」、「comedy」などのようなジャンルやタグにより、アプリ内でコンテンツを探索することができる。
BitTorrent NowはiOS上でのバックグランド再生にも対応している、もしソーシャルネットワークや、SMSや、メールを介してシェアを行いたければiOSの組込シェア機構を用いて行うことが可能だ。
BitTorrent Now の課題は、これだけ世の中に多くのコンテンツ発見の手段(これまでBitTorrent が支援してきた「既存」のアーティストたちのものを含む)がある中で、自分にふさわしい場所を見つけることだ。SoundCloudに加えて、アーティストたちは既にBandcamp、YouTube、Vimeo、あるいは自分自身のウェブサイトやFacebookのようなより巨大なソーシャルネットワーク上でも作品を共有することができるのだ。
そこでBitTorrentは、クリエイターたちに自分の条件を設定させることによって魅力を加えようとしている。BitTorrentの「bundles」を用いれば、アーティストたちはコンテンツを無償で提供することもできれば、サブスクリプションを設定したり、または個別の支払いを求めることもできる。アーティストたちはまた、ユーザーの電子メールアドレスを得て、収益の大部分を手にすることもできる。
しかしファンにしてみれば、こうした様々なオプションは、ある場合には広告付きコンテンツを視聴し、またある時は支払いが必要になるということを意味する。これは、誰もが理想的と思うわけではない、まとまりのない経験へとつながる可能性がある。
BitTorrent Nowアプリは現在iTunesやApple TVから入手可能だ。
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(翻訳:Sako)