ネットワーク広告担当者が語るGoogle AdSenseでネットメディアの収益を最大化するポイント : LINE Corporation ディレクターブログ

こんにちは 広告事業部の木原です。主にlivedoorやNAVERのメディアに掲載しているGoogle AdSenseやYDN(旧インタレストマッチ)、マイクロアド、アドコムといったネットワーク広告の運用を担当しています。

中・大規模サイトのネットメディアや個人メディアを運用されているWebディレクターの方でも、なかなか、収益があがらないと悩んでる方も多いのではないかと思い、今回は利用者も多いGoogle AdSenseという商品に的を絞って基本的仕組みから収益増に繋がる最適化案についてお伝えしたいと思います。

(photo: You've got Mail by

Bramus!

)


Google AdSenseとは

ご存知の方も多いと思いますが、Google社が法人、個人メディアの広告枠を束ねそこに広告主から預かった広告を配信し収益をGoogle社とメディア側でシェアする取り組みです。

収益発生のタイミングはCPC型(クリック後に収益発生)、CPM型(広告が表示された時点で発生)の2つがありますが、前者のタイプが多いです。

契約の形体にもいくつか種類があり、一般のユーザーがオンラインで申込可能なオンライン契約、一定の条件を満たした法人が契約可能なダイレクト契約があります。ここ最近ではGoogle社とリセラー契約を結んでいる代理店経由で掲載をするという方法もあります。

収益をあげるポイントは2つ

これはGoogle AdSenseに限った話ではありませんがネットワーク広告を利用して収益をあげる方法は単純化すると2つで、それぞれメリットデメリットがあります。

インプレッション(広告表示回数)をあげる

→広告枠を増やす、またはPVをあげる事で対応出来るため即効性が高いです。ただし、むやみに枠を増やすとクリックが分散して結果1PV単位のパフォーマンスを下げてしまう可能性があります。

広告枠のCPMをあげる

→インプレッションの向上に比べ若干知識も必要となってくるためハードルが高く、効果も直ぐには出てこないことが多いです。しかし、上手くいった場合のインパクトは長期的に見て大きい方法です。

レポート画面で使われる用語とそれが持つメッセージを正しく理解する

レポート画面で表示されている用語を正確に理解出来ていますか?Google AdSenseについて、私に質問される方の中でも「収益部分しか見ていない」という人がとても多かった印象があります。収益以外の項目にも興味を持ち正確に覚えておくと広告最適化に非常に役立ちますのでこれを機会に覚えてみてください。

・広告リクエスト

Googleに対して広告をリクエストした回数です。

・表示回数

広告のリクエストに対して広告が表示された回数です。

広告インプレッションとも呼びます。

・カバレッジ(広告表示率)

広告リクエストに対して広告が「正常に表示出来た」割合です。

95%以上の表示率であればさほど気にする必要はありませんがそれを下回るようであれば要注意

です。

広告在庫が豊富なGoogle AdSenseでもコンテンツが不十分なページには広告が表示されない場合があります。せっかく広告リクエストを送っても広告が表示されなければ意味がありませんので、広告を表示させるための情報(記事の内容、量)が十分であるか、おかしなフィルタをかけていないか再確認し、1インプレッションでも無駄にしないようにしましょう。大きなPVを持つメディアほど機会損失額が大きくなります。

また、広告タイプもよほどこだわりがない限り「テキストとイメージ/リッチメディア広告」に設定しておきましょう。どちらか一方だけの選択よりオークションのプレッシャーがあがり広告単価、カバレッジ増につながります。Google AdSense管理画面上部の「広告設定」→「広告タイプを編集」から設定変更が可能です

・CPC

1クリックあたりの平均広告単価です。月末や3月、12月といった需要期にはこの数値が上昇する傾向があります。需要期は広告在庫も豊富なため枠を一時的に増やしてみるのもいいかもしれません。

・eCPM

1,000回広告が表示された場合に得られる収益の目安です。そのページ、または枠の広告価値を図るときにも使われる数値です。

・見積もり収益額

何か問題がない限りは見積もり収益に記載されている金額が最終的な収益となりますが、スパムクリック等で最終的にいくらか減額される場合もあるのであくまでも予想額としておきましょう

収益性の高い広告掲載位置と広告サイズ

収益を最大化するにあたり一番重要なのは一番クリックされやすい場所に収益性の高いサイズの広告を掲載することです。

クリック率のよい場所というのは掲載する媒体によって異なるので一概には言えませんがブログメディアを例にすると、記事全文直下やファーストビューの左or右カラムがよいと思われます。

広告サイズは記事下に300×250または336×280のレクタングを1つか2つ、左or右のサイドカラムに160×600のワイドスカイスクレイパーがお勧めです。

ちなみにlivedoorニュースでは記事全文直下と、続きを読むボタンの直下に300×250のレクタングルを横に2つ並べてます。

ここで気をつけるべきポイントは広告同士もそうですが、記事や続きを読むボタンからある程度距離をとり「意図しないクリック」を避けることが重要です。

「意図しないクリック」だとしてもクリックを誘発し収益をあげたいと思われる方がいるかと思いますが、そういった実装は長期的な収益向上にはつながりません。意図しないクリックは最終的にスパム扱いと判断され減額される場合もありますし、後述するSmart Pricingの対象になる場合があります。

Smart Pricing(スマートプライシング)

意外に知られていないのがこの「Smart Pricing」というシステム。簡単に言うと利用者(アカウント単位)のパフォーマンス(CTRやコンバージョン)に応じて広告単価を本来受け取れていた単価から引き下げるもので、Google AdSense独特のシステムです。

実際自分のアカウントにどの程度Smart Pricingがかかっているかというのは公表されていないので分かりにくいのですが、過去の経験から言うとレベルの差はあれど基本掛かかっている前提で考えてもいいと思います。

対策としては一度、枠ごとのパフォーマンス(CTR)を確認して殆どクリックされていないような枠(CTR0.01%〜0.03%程度)については削除しアカウント単位のパフォーマンス改善をお勧めします。イメージはこんな感じです

改善後、1週間〜2週間程度様子を見て単価が上がってくればパフォーマンス改善でSmart Pricingが緩和されたと見ていいと思います。枠を削って一時的に売上げは落ちても、その後の単価改善で最終的には増収になる可能性が高いです。100%のお約束は出来ませんが過去行ってきた最適化対策の中でも非常に効果の高かった対策の一つです。

実際はCTR以外にもコンバージョン数など様々な要素を混ぜ合わせた複雑なロジックをGoogleは持っているのだと思いますが、メディア側でコントロールしやすい「アカウント単位のCTR改善」が取り組みやすい対策だと思います。

ポリシー違反には注意

Google AdSenseのポリシーは日本の広告ネットワーク内では、一番といっても過言ではないくらい厳しいです。アダルトサイトへの外部リンクが1件あるだけでも警告がある場合もありますし、アダルト性の高いアフィリエイト広告、水着の写真等もNGとなる場合があります。

あまりにもひどい場合はアカウント自体が利用できなくなる場合がありますので思いあたる部分があれば早めの改善をお勧めします。アカウントが停止になると最適化どころの問題ではなくなりますので(笑)。また、ポリシー違反ギリギリのようなページは広告主が予め広告出稿にフィルタをかけている場合があります。そうした場合、低単価の広告しか出ていない可能性も高いです。

自分の親子供に見せても恥ずかしくないページであるかどうか、自身が広告主だった場合にそのページに広告を出稿したいかという基準で一度自身のページを見直してみるといいと思います。

こういったポリシーに厳しいネットワークであるからこそ、広告主の信頼が高く、最終的にメディアに対して高パフォーマンスの見返りが出来ているともいえます。

最後に

ネットワーク広告を運用していると、ついお金の出先がアドネットワーク会社であるように錯覚してしまうかもしれませんが、当然、その先には広告主がいます。ネットメディアへの出稿効果が高くなれば、より多くの広告主がネットメディアに流れ込みオークションプレッシャーがあがり、最終的には、広告単価の上昇が期待できます。つまり、「広告主の立場になって広告枠を設置、最適化する」ということが、長期的な収益アップには最も重要なポイントかもしれません。

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