最果ての塔
その名をアヴァロン。星の内海―――
地球という惑星が持つ魂、その置き場所の別名。
その場所で、男は自ら道を閉ざした。
幽閉塔に身を置き、
星の終わりまで死ねない未来を選択した。
もう見るべきものは見た。
―――いや。
十分すぎるほど、美しいものは見たからだ。
「さあ、お行きキャスパリーグ。ボクはここでいい。
おまえは自由に、
本当に美しいものに触れてきなさい」
男は何の感慨もなく、最後の同居人を窓から離した。
魔術師は飽きる事なく、唯一の窓から世界を見渡した。
これはただそれだけの、世界の終わりのおとぎ話。