教育再生実行会議が提言へ
政府の教育再生実行会議(座長、鎌田薫・早稲田大総長)が、発達障害などを抱える児童・生徒を支援するために教員が兼務する形で各学校に配置されている「特別支援教育コーディネーター」を専任化することなどを第9次提言の素案に盛り込むことが分かった。20日午後に開かれる同会議に示し、5月中にも安倍晋三首相に提出する。
特別支援教育コーディネーターは現在ほぼ全ての小中高校に配置されているが、学級担任などを兼務しているケースが大半とされる。このため「研修などで専門性を身につける時間的余裕がない」「コーディネーター業務まで手が回らない」といった課題が指摘されていた。
文部科学省によると、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)など比較的軽度の障害を抱えながら公立小中学校の通常学級に通い、一部授業だけを別に行う「通級指導」を受けている児童・生徒は約8万4000人(2014年度)で、04年度の2・3倍にまで増えている。特別支援学級に通う児童・生徒も約18万7000人(同)で04年度の2・1倍に達しており、対策の強化が求められていた。
このため、教育再生実行会議はコーディネーターの専任化の他、日常生活や学習面で子どもをサポートする特別支援教育支援員や看護師の配置促進も求める。また、発達障害の早期発見のため、就学時や就学中の健診について、就学前健診の結果が引き継がれるよう促すことや、発達障害の特性を踏まえた視点を問診票に明確に記載することなども提言する。【佐々木洋】
特別支援教育コーディネーター
障害のある児童・生徒を支援するため、文部科学省が2007年に出した通知で各学校に配置を求めた。校長が指名し、保護者に対する相談窓口や関係機関との連絡調整、校内での支援態勢づくりのまとめ役などを務める。14年度時点で、全国の国公私立の小学校の約99%、中学校約95%、高校約84%で配置されているが、学級担任などと兼務しているケースが大半とされる。現在、多くの自治体でコーディネーターの養成研修が実施されている。