国税庁は9月末に、2013年分の「民間給与実態統計」を発表した。民間企業の従業員が1年間に得た平均給与は413万6000円で、3年ぶりの増加(1.2%増)となった。
調査では正規・非正規、男性・女性、さらには年齢別、業種別の平均給与も出されているが、新聞報道などでは「3年ぶり増」にばかり焦点が当たっている。しかしネットでは実感がないという声も多く、「こんなもん見出しにするな」といった批判もある。
平均年齢45.2歳。40~50代の男性正社員は600万円超
調査によると、男性全体の平均給与は511万円(1.9%増)、女性全体では272万円(1.4%増)。正規雇用者は、男性が527万円(1.2%増)、女性が356万円(1.9%増)。非正規雇用者は、男性が225万円(0.4%減)、女性が143万円(0.2%減)である。
全体の平均給与(413.6万円)を上回っているのは、男性の正規雇用者のみ。これでは多くの人が「平均給与527万円」を高いと思うはずである。しかしツイッターなどでは、男性正社員と思われるユーザーからも「俺の年収は平均以下」「信じられないよ」と疑問を投げかける人も少なくない。
それでは、平均年収を引き上げているのは誰なのか。調査対象となった給与所得者の平均年齢を見てみると、「45.2歳」(男性45.1歳・女性45.3歳)となっており、比較的高い年齢層の人が多くなっている。
男性の平均給与を年齢階層別に見ると、一番高いのは50代前半(649万円)で、以下40代後半(638万円)、50代後半(629万円)と続く。このあたりが平均値を大きく引き上げているのは確かなようだ。
一方で、20代後半(371万円)、30代前半(438万円)といった若い世代は、「平均給与527万円」を大きく下回っている。しかしこれほど大きな年収の差が、会社に対する貢献度の違いに比例しているかといえば怪しいところもある。
さらに言えば、少子化の進行で今の20代や30代が年齢を重ねても、今の50代のような金額をもらえる保証はかなり低い。そういった不公平感が「信じられないよ」という声につながっているのではないだろうか。
男性の年収中央値は「400万円前半」では?
「平均給与527万円」という数字だけが独り歩きすると、人件費はまだまだ高いように思われてしまう。より正しい実態をつかむために「中央値を出せや」という声もある。
平均値で見た場合、調査対象の貧富の格差が大きいと、一部の高給取りが釣り上げてしまう可能性があるからだ。一方、年収順に並べて真ん中にいる人の「中央値」で見れば、比較的「普通のひと」に近くなるというわけだ。
「給与階級別分布」によれば、調査内の男性合計は2754万人なので、中央値は1377万人あたり。年収400万以下の人は1179万人おり、「400~500万円」の人が472万人いるので、男性の年収中央値は「400万円前半」と見ることもできそうだ。
もっとも、男性で一番多いのは「300~400万」であるから、中央値でも「実感より多い」と感じる人も少なくないだろう。ちなみに同じ求め方だと、女性の中央値は「200万円半ば」で、一番多い層は「100~200万」だった。