韓国の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備をめぐり、中国と韓国の関係が急激に冷え込んでいる。中国政府は韓流タレントの締め出しや韓国旅行の制限など、さまざまな報復措置を行っているとされ、韓国国内でも中国に対する反発の声が高まっている。
一方、中国の民間でも韓国製品を不買すべきだと主張する声が高まっているが、中国政府は民間における不買の声を黙認している状況だ。自動車やスマホなど、韓国の各種産業にとって中国は非常に重要な市場だが、中国メディアの捜狐はこのほど、「THAAD配備は中国市場における韓国車の販売に深刻な影響をもたらさない」と論じる記事を掲載した。
記事は、韓国がTHAAD配備に向けた動きを進めるに従い、中国各地では一部の韓国製品に対する不買運動が起きていることを紹介。現代自動車も中国市場への新車の投入延期を余儀なくされたと伝える一方、THAAD配備をめぐる問題が韓国車の販売に深刻な影響をもたらすかと言えば、「その可能性は極めて小さい」と論じた。
続けて、日系車もかつて尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題で販売台数が落ち込んだものの、その影響は短期間で解消されたとし、消費者は二国間の関係よりもむしろ「質やコストパフォーマンスを重視している」と指摘。THAAD配備によって韓国車の販売は一定の影響を受けることは間違いないとしながらも、中国市場において韓国車にとって最大の障害はTHAADではなく、中国車の躍進であると論じた。
さらに記事は、現在の中国人消費者は韓国車の品質について「中国車と同等」と考えており、中国車に勝るのは「外見の良さとコストパフォーマンスの高さ」と認識していると主張。中国車が年々、品質とコストパフォーマンスを高めるなか、今後は韓国車を購入するなら中国車を購入したいと考える消費者が増えるに違いないとし、「韓国車は中国で品質を高める努力をしない限り、THAAD問題などがなくとも中国車に打ち負かされてしまうだろう」と伝えている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)