東日本大震災から6年を迎えた11日、政府主催の追悼式が東京都千代田区の国立劇場で営まれた。秋篠宮ご夫妻、安倍晋三首相ら三権の長、遺族の代表ら約950人が参列。地震が発生した午後2時46分から1分間、黙とうし、犠牲者の鎮魂を祈るとともに東北の再生へ誓いを新たにした。
首相は式辞で、被災地のインフラはほぼ復旧し、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示も解除が進んでいるとして「復興は新たな段階に入りつつある」と指摘。同時に、なお12万人以上の避難者がいることに触れ、「心と体のケアや新たな地域社会の形成など、切れ目のない支援に力を注ぎ、さらに復興を加速していく」と表明した。
今回、天皇、皇后両陛下は臨席されず、初めて秋篠宮ご夫妻が出席した。秋篠宮さまはお言葉で「困難な状況にある人々誰もが取り残されることなく、平穏な暮らしを取り戻すことができる日が来ることは、私たち皆の願いです」と述べられた。
岩手、宮城、福島の被災3県の遺族代表も、それぞれ思いを語った。
岩手県田野畑村出身の千葉陽さん(41)は津波で父を失った。「何とか生き残った者として、精いっぱいに生きることを全うし、『辛(つら)さ』を『幸せ』に変えられるように、少しでもできることをしていきたい」と決意を述べた。
宮城県石巻市出身の佐藤昌良さん(57)は「過酷な経験を後世に色あせることなく語り続けるため、あの悲しみを忘れない」と述べた上で、「空から見えるいい仕事をして、古里の復興を必ず成し遂げたい」と亡くなった両親に思いをはせた。
福島県川内村出身の石井芳信さん(72)は、原発事故に伴う避難指示が解除されても全村民が戻るわけではなく「以前のような村の姿には程遠い」と嘆き、「みんなで力を合わせ、復興と再生を進めていくことが私たちの責務だ」と力を込めた。
警察庁によると、10日現在の死者は1万5893人、行方不明者は2553人に上る。