ラーメン二郎仙台店のツイッターアカウントがこのほど、何度も注意したにもかかわらず「大盛り」を注文して半分以上残した客に対する「批判」を投稿して、物議をかもしている。
投稿によると、店側が、初めて来店した客に対して「大は多いので小で」と何度も注意したが、「大」「全部マシ」と注文が入った。ところが、その客は半分以上も食べ残したうえで、笑いながら「食えるわけねーよ」と言い放ったという。「金払えば何してもいいと言う勘違いした態度」だったそうだ。
同店のツイッターアカウントは「帰り際に人生初の『2度と来ないでくださいね〜♡』が自然と口から出てて驚く」「当店、後からでも足せますので。食べれないのに大盛りの様を見たいだけの方、撮りたいだけの方は御来店頂かなくて結構です」とつづっている。
●ネット上では賛否両論があがっているラーメン二郎は、超がつくほどの大盛りのうえ、トッピングで野菜などを追加することができる名物の「ラーメン」を提供している。こってりとした味にファンも多いが、大盛りの写真をSNSに投稿する目的で来店する客も少なくないようだ。
今回の投稿に対して、ネット上では「一応お金払ってるんだし失礼だと思う」「お客さまをクソ呼ばわりするのはいかがなものか」といった批判もあれば、「お金を払えば何でもできると勘違いしている客が多い」といった声もあがっている。
はたして、何度も「小で」と注意したにもかかわらず、食べきれない「大」を注文するような客に対して、注文や来店を拒否したりすることは法的にできるのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
●法律的には「注文」を拒否できるが・・・「ラーメン二郎は、大好きな店の1つです。それにしても、SNSの利用法は難しいですね」
西口弁護士はこう切り出した。まず、注文を拒否することはできるのか。
「ラーメンを注文するというのは、難しい言葉で説明すると、『飲食物供給契約』といいます。客が注文という『申し込み』をおこなって、店側が『承諾する』ことで、成立します。
したがたって、店側が、客の注文に対して、承諾するかどうか自由ですので、法律的には注文を拒否することができます。
ただし、店としても『大』を注文する客に対して、気持ちよく『大』を提供するほうがいいでしょうね。それがサービス業だと思うのですが・・・」
●常識の範囲内として、来店拒否もできるそれでは、来店を拒否することはできるのか。
「店側も契約をする自由がありますので、余程の事情がないかぎり、来店拒否の自由も認められることになります。
余程の事情とは、民法の『公序良俗違反』になるような場合です。たとえば、明らかに人種差別で入店拒否するようなケースがあてはまります。今回のような場合、常識の範囲内として、来店拒否はできるでしょう。
とはいえ、『お客様は神様』という風潮もありますから、こんなことをしていれば、客は離れていくおそれがあります。店としても、慎重な対応が求められるところです。SNSは気軽につぶやけるだけに、注意をしないと、いくら良いものを提供しても店のイメージが悪化させてしまい、閉店という事態にもなりかねません。
こんな話をしていますと、何だかラーメンが食べたくなってきました。今度、東京に行ったらラーメン二郎に行きたいですね」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/