月末の金曜日は仕事を早めに切り上げ、買い物や旅行を楽しんでもらおうという「プレミアムフライデー」が2017年2月24日にスタートした。消費の拡大とともに、長時間労働の改善など、働き方改革につなげる狙いもある。
市場調査のインテージによると、プレミアムフライデーで実際に早く退社できた人は3.7%にとどまった(3月3日発表)が、今さまざまな企業が働き方改革に取り組んでいる。そうしたなか、テレビでユニークな事例が紹介された。
「余計にストレス溜まるよ」企業の働き方改革を紹介したのは、「新・情報7daysニュースキャスター」(TBS系、2017年2月25日放送)。IT関連企業「スピーノ」では、仕事中に「笛」を身に着け、「疲れた」などマイナスの言葉を口にした人がいたら、周囲の人が鳴らしているという。
この取り組みを始めたきっかけについて、松原秀樹代表は、
「8年くらい前にリーマンショックがあり、非常に社内が重苦しい雰囲気に。何とかその雰囲気を変えたいということで、明るい言葉を使おうと」
と説明していた。
「笛」を鳴らすことで職場が明るくなるかどうかはわからないが、いい雰囲気づくりのために行っているようではある。
しかし視聴者にはそうは見えなかったらしく、ツイッターには、
「『疲れた』などのネガティブな言葉を口にした社員がいたらすかさず首に下げてる笛を鳴らす会社。地獄か」
「余計にストレス溜まるよ。仕事をしてたら疲れるし、弱音を吐きたい時もある。それを抑圧させる制度に疑問。ポジティブの押し付けは社員を病に導く」
「私絶対やっていけないな。普段ため息つきまくりながら仕事してるから」
「『ポジティブな職場を』という考えはすばらしいが、やり方を間違ってやしないか? これではため息一つこぼせないぜ...」
といった感想が投稿された。
脳科学的にはマイナス発言こそ悪影響一方、日経ウーマンオンラインでは、脳科学者・米山公啓氏の著書「できる人の脳が冴える30の習慣」から
「口に出すことで忙しい、疲れたという言葉が、耳から自分の脳に再び情報として入っていきます。すると、脳内物質の一つで、脳を元気にさせる作用のあるセロトニンなどの物質が減っていき、脳にストレスをかけて神経細胞自体を減らすことになります」 との記述を紹介していた(2011年11月1日)。「マイナス発言を制限されるとストレスになる」と思う人が多いようだが、じつはマイナスな言葉を発することがストレスにつながるということで、番組に登場したIT企業「スピーノ」の取り組みは、理にかなっているといえるかもしれない。
「疲れた...」と言うと笛で警告される職場、あなたはどう思う?(MM)