北朝鮮メディアはこのほど、中国を名指しで批判する論評を発表した。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報(電子版)は4日、「北朝鮮との論戦に付き合う必要はないが、北朝鮮の核開発に対しては一切妥協しない」と反論する記事を掲載した。
記事によると、朝鮮中央通信はここ最近、中国を批判する文章を3回にわたって掲載しているが、「中国を名指ししたうえでの批判」は今回が初めてだという。
朝鮮中央通信は、北朝鮮による核実験を正当化しており、中国が過去に韓国と国交を樹立したことや、2015年の抗日戦争勝利70年記念式典に朴槿恵(パク・クネ)前大統領が参加したことへの不満も表しており、「中国は過去70年にわたって反米の第一線となってきた北朝鮮に感謝してしかるべき」としているという。
環球時報はこうした北朝鮮の批判に対し、「中国」や「人民日報」、「環球時報」を名指しし、感情的な論調であることを除けば、「特に目新しい内容はない」と指摘し、中国は「非理性的な考えに陥っている北朝鮮との論戦に付き合う必要はない」と論じた。そのうえで中国は、中国としての立場とレッドラインを伝え、新たに核実験を強行するなら中国は前例のない厳しい対応を取るということを北朝鮮に分からせるべきだと主張、これらの情報を北朝鮮に伝えたならば、あとは議論に付き合う必要はないとした。
一方で記事は、中朝両国にはハイレベルによる意思疎通が必要だとも指摘。北朝鮮がどのような文句を言うかは重要ではなく、何をするかが重要であると、今のところ北朝鮮は6回目の核実験を行っておらず、4月のミサイル発射もある程度自制したものであったとした。
結びに記事は、米朝関係が緊張しているなかで中国の役割は非常に重要であるとし、中朝関係の主導権は中国が握っており、これは北朝鮮が中国を批判したからといって変化するものではないと主張。しかし、朝鮮中央通信の論評から北朝鮮の思考を理解することができ、核問題の解決は容易ではないものの、中国は北朝鮮に対する理解を深めることができたと結んだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)