期間の定めがある労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合、労働者の申し出によって正社員と同様の無期労働契約に転換することができる「無期雇用転換」ルールを知らない非正規労働者が、85.7%にのぼることがわかった。
求人広告のアイデム・人と仕事研究所が調査し、無期転換権の本格的な発生が約1年後に迫った2017年3月27日に発表。認知度が低い実態が浮き彫りになった。
「会社から十分な説明されず」全体の9割「無期雇用転換」のルール(労働契約法第18条)は、2013年に施行された改正労働契約法で実現。2018年は施行されて5年が経つことから、同じ事業者で通算5年を超えて働くパートやアルバイトなどの非正規労働者が、無期労働契約(無期雇用)に転換する動きが本格的にはじまることになる。
このルールは、労働者からの申し出が前提で、事業主は拒否できない。逆に、申し出がなければ無期労働契約に転換する必要はないということになる。
調査によると、会社からルールについて、「十分な説明がされたと思うか」という問いに、全体の91.0%が説明を「されなかった」と回答した。
一方で、事業所側は71.7%が「知っており、内容も理解している」と答えながらも、「すでに周知・説明した」事業所は48.2%だった。「無期雇用転換」を適用したいと前向きに考えているのは全体の5割程度にとどまる。
また、正社員・限定正社員などと同じ労働条件・待遇への雇用の改善を望む非正規労働者(限定正社員を含む)は、全体の57%に及んだ。
労働者の認知度が低い理由について、アイデムは2017年5月8日のJ‐CASTニュースの取材に、「会社側はセミナーなどを通して無期雇用転換のことを知る機会はあるが、労働者側にはそうした機会が少ないことから、気づきにくいのではないか」と述べている。
調査は、パートやアルバイト、契約社員として働き、現在の勤務先に6か月以上勤続している20~40代の男女を対象に、2017年3月7日~9日にインターネットで調査した。有効回答者数は679人。