カロス地方
サトシ「さっき草むらで捕まえたんだ!」
メルエム「苦しゅうない」
セレナ「な、なにあのポケモン?」ヒソヒソ
シトロン「わ、わかりません……初めて見ました……」ヒソヒソ
ユリーカ「なんだか怖い……」ガクブル
2: 2018/03/30(金) 19:53:24.65 ID:aP6BgbnwO
メルエム「…………おい女」ギロッ
セレナ「は、はひ!な、なんですか!?」ビクッ
メルエム「余は空腹じゃ…馳走を用意せい」
セレナ「ち、馳走……?」ビクビク
サトシ「おいおいメルエムー!さっき食ったばっかだろー?」
メルエム「あの程度では余の腹は充たされぬ」
サトシ「育ち盛りなのか?」
シトロン「セレナ、逆らわないほうがいいと思います…僕の勘がそう言ってます!」ヒソヒソ
セレナ「…………そ、そうね…」ヒソヒソ
セレナ「……わかりました」
メルエム「急げ!余は空腹だ」ギロッ
セレナ「は、はいー!」
3: 2018/03/30(金) 20:02:29.55 ID:aP6BgbnwO
10分後………
セレナ「で、できました……」
メルエム「……遅い」ギロッ
セレナ「す、すみません……」ビクッ
メルエム「……して、これはなんだ?」
セレナ「……マカロンです……」
メルエム「マカロン?」
シトロン「洋菓子みたいなものですね」
ユリーカ「わぁー!セレナのマカロン美味しそー!」
サトシ「メルエム!いいから一個食ってみろよ!セレナのマカロン、すっげー美味いんだぜ!」
メルエム「…………ふむ……」パクッ
セレナ「」ドキドキ
メルエム「…………」モグモグ
サトシ「マカロンうめー!」モグモグ
メルエム「……不味い」ペッ
セレナ「!?」ビクッ
4: 2018/03/30(金) 20:21:37.32 ID:aP6BgbnwO
サトシ「おいおいメルエムー!セレナのマカロン美味いぜー?ワガママは……」
ユリーカ「サトシ!」バッ
サトシ「モガ」
メルエム「……おい女」
セレナ「は、はひっ……!」ビクッ
メルエム「今すぐ次の馳走を用意せよ。次はないぞ?」ギロッ
セレナ「すぐって……そんな………」
メルエム「……余の命が聞けぬか……」スッ
セレナ「ひっ」ビクッ
シトロン「ま、待ってください!メルエムさん!」
メルエム「?」
セレナ「シトロン……」
シトロン「そ、その……僕たちにはルールがあるんです!」
メルエム「……ルール?」
シトロン「は、はい!"意見が割れた時はポケモンバトルで"」
メルエム「…………サトシ、その話しは真か?」
サトシ「ああ、本当だぜ?」
サトシ「へへっ!バトルか!丁度メルエムでバトルしてみたかったところだぜ!」ワクワク
メルエム「……ふんっ、まぁよい……サトシもノリ気のようだ。その余興、乗ってやる」ニヤッ
シトロン「あ、ありがとうございます…」ホッ
ユリーカ(良かった…)ホッ
シトロン「………セレナもいいですね?」チラッ
セレナ「う、うん……」
メルエム「……女、せっかくの余興だ……何か賭けぬか?」
セレナ「か、賭け……?」
メルエム「余がバトルに勝利した暁には早急に余の腹を充たす馳走を用意せよ」
セレナ「………なら…私が勝ったらあなたはここから出てって!」
メルエム「……ふんっ、賭け成立だな?」ニヤッ
サトシ「おい!勝手に決めんなよー!」プンプン
5: 2018/03/30(金) 20:36:22.74 ID:aP6BgbnwO
シトロン「セレナ、あのポケモンは見たところ虫タイプのようです」ヒソヒソ
セレナ「わかったわ」コクッ
サトシ「おーい!セレナー!準備はいいかー?」
セレナ「う、うん!」スッ
セレナ「………お願い!テールナー!」ポンッ
テールナー「テー!」
サトシ「へへっ、テールナーか!よし!メルエム!キミに決めたー!」
メルエム「……ふん」
セレナ「テールナー!ひのこ!」
テールナー「テー!」ボボボ
サトシ「メルエム!かわせ!」
メルエム「……避けるまでもない」スッ
キンキンキン
セレナ「!?」
テールナー「テー!?」
ユリーカ「し、尻尾で!?」
サトシ「おい!メルエム!ちゃんと言う事聞けよ!」
メルエム「……ふんっ」
6: 2018/03/30(金) 20:49:18.78 ID:aP6BgbnwO
シトロン「サトシ!あれは本当にポケモンなんですか!?」
サトシ「ん?ポケモンだぜ?それにさ?メルエムはすっげー特性持ってんだよ!」
シトロン「………すごい特性?」
サトシ「メルエムはさ?食べた相手の能力をそのまま自分の力にできるんだ!」
シトロン「ど、どういう事ですか……?」ゴクリ
サトシ「つまりメルエムは……食べれば食べるほど強くなる」
サトシ「相手が強けりゃ強いほどな?」ニッ
シトロン「!!!??」
メルエム「サトシ、此奴との余興はつまらぬ。決めるぞ」
サトシ「おう!メルエム!でんこうせっか!」
メルエム「………………」スッ
シュンッ
セレナ、テールナー「!?」
ユリーカ「き、消え……」
シトロン「い、今のがでんこうせっか!?」
7: 2018/03/30(金) 21:07:36.59 ID:aP6BgbnwO
メルエム「………………」ババッ
セレナ「」ビクッ
シトロン「い、一瞬でセレナの目の前に……?」
ユリーカ「セレナー!逃げてー!」
メルエム「………………」スッ
セレナ「……………………」
……その生物【ポケモン】が自らの目の前に現れた瞬間……
セレナは一瞬にして自分の運命を悟った
セレナ(あー……私、このポケモンに食べられちゃうんだ……)
セレナ(………もっとやりたい事たくさんあったのに……)
セレナ(カロスクイーンになって……親孝行して……)
……そう、それはその生物【ポケモン】と目が合ったほんの一瞬の出来事……だが彼女には…
その【刻】が永久に感じる程に様々な思いが頭を駆け巡った……
……そう、それはまるで走馬灯のように……
メルエム「覚悟はよいか?」
セレナ「……………………」
"生きたい"そう強く願った彼女のこの選択を……
セレナ「……………………」スッ
セレナ「………私の……敗けです……」
誰も責める事は出来ない………
8: 2018/03/30(金) 21:20:25.84 ID:aP6BgbnwO
メルエム「……ふんっ」
セレナ「……………………」
シトロン「そ、そこまで!勝者サトシ!」
サトシ「へへへっ!やったな!メルエム!」
メルエム「つまらぬ余興であった」クルッ
ユリーカ「ゼレナァァァァ!!」ビエーン
セレナ「…………………」
メルエム「女……」
セレナ「」ビクッ
メルエム「賭けは余の勝ちだ。早急に余の腹を充たす馳走を用意せよ」
セレナ「………仰せのままに…メルエム様」スッ
セレナ「………出て来て」ポンッ
ニンフィア「フィアー」
ヤンチャム「ヤンチャム」
テールナー「テー」オドオド
メルエム「……ふん」
サトシ「おっ!みんなで食料探しにいくのか?」
9: 2018/03/30(金) 21:37:06.45 ID:aP6BgbnwO
1か月後 マサラタウン
サトシの家
ハナコ「サトシ!ご飯よ!」
サトシ「ありがとうママ!」
ハナコ「はい、メルエムちゃんには特別製の肉団子よ?」スッ
メルエム「すまぬな、ママ」スッ
ハナコ「いえいえ」ニコニコ
メルエム「それにしてもカロス地方……温い地方であったな」ガジッ
サトシ「おい!メルエムのせいでカロスリーグに出場出来なかったのに良く言うよー!」ブー
メルエム「……ふんっ、あのアランとかいう小僧……少し小突いただけで崩れおった……」
メルエム「人とは脆くてかなわぬ」
サトシ「そのせいでリーグに出場出来なかったんだぜ?リーグ優勝の夢が…」ガクッ
メルエム「……気を落とすなサトシ……」
メルエム「……カロス地方はあらかた食った……日に日に己が強くなっていくのが実感できる……」
メルエム「……今の余ならば……ポケモンリーグ優勝ごとき赤子の手を捻るより易しい…」ニタァ
サトシ「へぇー?期待してるぜ?」ニッ
メルエム「ふんっ」ニッ
ハナコ「あらあら、サトシとメルエムちゃんは仲良しね?」ニコッ
メルエム「……だが……」
サトシ「…………ユリーカか?」
10: 2018/03/30(金) 21:53:35.08 ID:aP6BgbnwO
メルエム「……ユリーカとの軍儀……余は一度も勝利する事が出来なかった…」グッ
サトシ「ユリーカ……グンギ強かったもんなー?」
ハナコ「あらあら?なんの話し?」ワクワク
サトシ「いやぁ、実はメルエムの奴、ユリーカに一度もグンギで勝てなかったのが悔しいらしくてさー」
メルエム「止さぬかサトシ!余を愚弄する気か!」
サトシ「んで、俺たちがマサラタウンに帰るって言った時なんかユリーカの奴、泣いて大変だったんだぜ?」
メルエム「ふんっ」
ハナコ「あらあら、メルエムちゃんも隅におけないわね?」クスッ
メルエム「?」
ハナコ「………そんなサトシとメルエムちゃんに私からプレゼントがあるのよ?」ゴソゴソ
サトシ「プレゼント?」
メルエム「……………?」
ハナコ「ジャーン!アローラ地方の旅行券よー!」バーン
サトシ「……アローラ地方……?」
サトシ「………メルエム!」キラキラ
メルエム「……ふんっ」ニッ
サトシ「アローラ地方!ワクワクしてきたぜ!」
メルエム「うむ……余も疼いてきたわ!」ニタァ
ハナコ「ふふっ」ニコッ
11: 2018/03/30(金) 22:04:52.41 ID:aP6BgbnwO
アローラ地方
サトシ「ママには自由に見てきなさいって言われたけど…」
メルエム「……………」
サトシ「……ん?あれ学校かな?」
メルエム「……………」ピクッ
メルエム「サトシ、頭上に注意した方がよいぞ?」ニヤッ
サトシ「え?」
ヒュー
ババッ
サトシ「あー!俺の帽子がー!」