そして今回のイベントにおける由良さんの大活躍を祈願して
五月雨「わぁ、美味しい!」サクサク
夕立「ね!」サクサク
夕張「(あ、天使がいる)」
夕張「五月雨ちゃーん、夕立ちゃーん」
五月雨「あっ、夕張さんこんにちは!」
夕立「こんにちはーっ!」
夕張「なに食べてるの?」
五月雨「クッキーです!」
夕立「由良が作ったっぽい!」
五月雨「一昨日の出撃で頑張ったご褒美にって、第二駆逐隊みんなにくれたんです」
五月雨「はいっ!憧れちゃいます!」
夕立「ぽい!」
夕張「(いいなあ…私も五月雨ちゃんの憧れる存在になりたい…)」
五月雨「(ゆ、夕張さんも、私の憧れですけど、なんて…)///」
夕立「(…なんかよく分からないけど、二人の間に『共鳴したすれ違い』を感じるっぽい)」
五月雨「よ、よかったら夕張さんもどうぞ!」
夕張「わぁ、ありがとう!どれどれ…」サクサク
夕張「悔しいレベルに美味しいわね…」
夕立「でしょ!」
夕立「うん、みんな由良のこと大好きっぽい!」
夕張「ふむふむ。同じく水雷戦隊の旗艦を務める身としては、その人気の謎に迫りたいところね」
五月雨「六水戦のみんなも、夕張さんのこと大好きだと思いますよ?」
夕張「うん、みんな私に懐いてくれててとても嬉しいんだけど、『憧れ』というか『仲良し』って感じで」
夕張「わたし的にはそれの方が性に合ってるからいいんだけど、どうしたら憧れの存在となりうるのかってのも気になってね」
五月雨「なるほど…!」
夕張「というわけで!由良のことについて、色々聞いてもいいかしら?」
五月雨「由良さんの魅力は、『優しいお姉さん』っていうところにあると思います」
夕張「うんうん」
夕立「この前もね」
五月雨「ああ、そうですよね」
夕張「なになに?」
五月雨「ちょっと前に、私たち第二駆逐隊の4人で鎮守府近海の警備に出たときのことなんですけど…」
提督「当鎮守府でも最高練度を誇る第二駆逐隊が、鎮守府近海の警備において敵の潜水艦隊と会敵」
提督「敵艦隊を撃退したものの、大破1、中破2、小破1、か…」
提督「ついでに指示していた物資の輸送にも一部影響が出たようだな」
第二駆逐隊「ごめんなさい…」
提督「今回は敵潜水艦隊も偵察にしては強固だった。撃退できて事なきを得た。とはいえ、こちらの艦隊の被害も軽微ではない」
提督「…砲雷撃戦においては自信があるようだが、対潜についてはまだまだのようだな」
夕立「ぽい…」
提督「そのような状況の中で、駆逐艦の役割は…」クドクド
由良「提督さん、この子たちも反省しているみたいですし…」
由良「あとは由良からもちゃんと言っておきますから、ね?」
提督「む、そうか…では水雷戦隊旗艦として、しっかり指導しておくように」
由良「はい。申し訳ありませんでした」
第二駆逐隊「申し訳ありませんでした!」
由良「とりあえず4人とも、このまま入渠ドックへ行って、修復してきて」
由良「それが終わったら、そうね…ヒトハチマルマルに4人そろって由良の部屋まで来ること。いい?」
第二駆逐隊「は、はい!」
由良「それじゃ、また後でね」スタスタ
春雨「行っちゃった…」
夕立「提督さんも怒ってたけど、由良も怒ってるっぽい…?」
五月雨「お部屋に呼び出しってことは、怒られるのかな…」
春雨「はい…由良さんは出撃していないとはいえ、由良さんが得意な対潜戦闘で、麾下の私たちが失敗して…」
五月雨「提督の前で、由良さんの顔に泥を塗っちゃったよね…」
村雨「と、とにかく、言われた時間に遅れないように、早いところ入渠しちゃいましょう」
夕立「うう、なんかお部屋に入るの怖いっぽい…」
村雨「最近、私たちも調子に乗っちゃってたところがあるからね…」
五月雨「ですね…由良さん、ごめんなさいっ!」ペコリ
春雨「さ、さみちゃん、謝るのはお部屋に入ってからね」
村雨「いい?まずは扉を開けたら開口一番、由良さんに謝るの」
夕立「ぽ、ぽい」
村雨「じゃあ、入るわよ…!」ゴクリ
春雨「はい…!」
村雨「第二駆逐隊、入ります!」
由良『はーい、どうぞ』
村雨「失礼します!」ガチャ
第二駆逐隊「このたびは、大変申し訳ございませんでs…」
由良「え?」
村雨「…あれ?」
五月雨「わぁっ♪」
夕立「美味しそうな料理がいっぱいあるっぽい!」
春雨「こ、これはどういう…?」
村雨「え?…あっ、もしかして、今日って…」
由良「そう。今日は春雨ちゃんがこの鎮守府に配属された日で、私たち第四水雷戦隊が編成された日」
由良「今年は3周年になるのよ。去年と一昨年はタイミングが合わなかったけど…今年こそは、ね、夕立ちゃん」
夕立「素敵なパーティー!」
由良「そう!四水戦のみんなで、素敵なパーティしましょう?」
由良「あ…ダメ、だったかな…?」
春雨「い、いえ、嬉しいです、はい!」
五月雨「私たち、由良さんが怒っているものとばかり思ってたから、ちょっと困惑しちゃって…」アハハ
由良「ああ、今日の任務のこと?うーん、まあ確かに残念だったし、これからは対潜の修練もしなきゃなって思ったけど」
村雨「デスヨネ…」
由良「でも、それ以上に、いつも元気で仲良しな4人が落ち込んでる姿を見る方が、私はイヤかな」
村雨「由良さん…!」ジーン
由良「だから、今日は辛いことは忘れて、目一杯楽しみましょうね、ね?」
夕立「わーい!由良、大好きーっ!」ダキッ
由良「わっ」
春雨「あっ、夕立姉さん、ズルいです!」ダキッ
村雨「うぁーん!ありがとうございますー!来週の村雨さんに期待してくださぁーい!」ダキッ
五月雨「わ、私も一生懸命がんばります!」ゴッ(抱きつき失敗激突)
由良「う゛っ」ゴスッ
由良「も、もうみんな甘えん坊ね」ゲホゲホ
村雨「ほんとそうね…」
五月雨「zzz…」
由良「ふふ。さ、料理が冷めないうちに、いただいちゃいましょう?」
春雨「はいっ!」
五月雨「ふえっ」
五月雨「それから、由良さん直伝の対潜テクニックを教えてもらい、私たち対潜もバッチリになりました!」
夕張「なるほどねー。優しい水雷戦隊旗艦かぁ」
夕張「水雷戦隊の旗艦は、なんとなーく麾下の駆逐艦に厳しく接しなければ、と思ってしまうけど」
夕張「(私がそれをできているかは置いといて)」
夕張「そういう向き合い方もあるのね」
夕張「それにしても相変わらず、うちの提督は由良に甘いわよね…」
五月雨「あはは…」
五十鈴「あら、夕張じゃない。また駆逐艦の子たちに手を出してるの?」
夕張「ちょ、誤解を招くようなこと言わないでよ!」
五月雨「?」
長良「ぽいちゃんこんにちは、また今度トレーニングにつきあってね!」
夕立「こんにちはー!お任せっぽい!」
名取「みんなで集まって何のお話をしてたの?」
夕張「実は、かくかくしかじかってな感じで」
名取「ふふ。由良ちゃん、しっかりしてるもんね。きぬちゃんやあぶちゃんのお世話もしてたし」
五十鈴「まぁ私たちに言わせれば、由良もまだまだかわいい妹だけどね」
夕張「趣旨とズレちゃうかもしれないけど、実姉からの話も聞きたいな。何かない?」
長良「うーん、そうだなー」
五十鈴「この前の話なんかはどうかしら?あの子の第二次改装のとき、私たち3人も立ち会ったんだけど…」
【鎮守府 工廠】
長良「ついに由良も第二次改装か~!妹が4人も改二になるなんて、お姉ちゃんは鼻が高いよ!」
長良「私たちも負けてられないね、名取!」
名取「わ、私は後でいいよ…。でも、由良ちゃん、良かったね。私も嬉しい」
由良「うん。ありがとう…」
五十鈴「? 元気ないわね。由良は嬉しくないの?」
由良「ううん、そんなことないよ。ずっと待ってた改装だもん。でも…」
五十鈴「不安?」
由良「えっと、鬼怒ちゃんも阿武隈ちゃんも改二実装されたけど、結構、変わったじゃない?」
五十鈴「確かに、大人っぽくはなったわね」
長良「五十鈴もだよー」
五十鈴「そうかしら?」
由良「私も、そうなっちゃうのかな、って…」
名取「楽しみ、ではないの?」
由良「楽しみでもあるんだけど、まるで自分が自分でなくなっちゃうかもしれない不安の方が大きくて…」
由良「もしも…もしもよ?私が私じゃなくなって、みんなのことを、大切な思い出も、忘れちゃったら…」
五十鈴「鬼怒も阿武隈も、あなたに懐いてる夕立だって大丈夫だったでしょ?」
五十鈴「私の第二次改装なんて大分前だけど、まだ設備が未熟だったその時でさえ何もなかったんだから」
五十鈴「見た目に変化があっても、由良は由良。そこは揺らぐことはないわ」
長良「それに、私たちの絆が、改装なんかで消え去ることはないよ!」フンス
名取「それでも不安なら…」ギュッ
由良「あっ…」
名取「こうして手を握っててあげるから」
長良「じゃー私はこっちの手!」ギュッ
五十鈴「あっズルい…って、そうじゃなくて」アセアセ
五十鈴「二人ともほんと甘いんだから…改装までの間だけだからね」ポン(頭に手を置く)
名取「改装中も、私たちずっとここで待ってるからね」
由良「3人とも、ありがとう…」グスッ
五十鈴「あーもう、こんなことで泣かないの!」
長良「鬼怒と阿武隈も改二記念パーティーの準備して待ってるから、パパッと終わらせちゃお!」
五十鈴「それにしても、あの2人に全部任せちゃって大丈夫かしら…ミスキャストのような」
長良「まーまー。こうして妹の晴れ舞台に立ち会えるのも、姉の特権でしょ?」
五十鈴「その後の不安を増やすのもどうかと思うけど…」
由良「ふふ…」クスッ
名取「(あ、震えが止まったね)」
夕立「へー。夕立、改二になる時そんなこと全然気にしなかったっぽい」
五十鈴「そうよねぇ。あの子が考えすぎなのよ」
夕張「うう。私がフィッティングの時にふざけて色々と変なことを言ったせいかもしれない…」
五十鈴「アンタのせいか」ゴチン
夕張「ゴメンナサイ」
五月雨「でも、由良さんにもそういうことがあるんですねー。いつも大人っぽい印象だったから…」
長良「あ、ごめんね、ガッカリしちゃった?」
五月雨「いえ!むしろ何だか、かわいいなって、もっと好きになっちゃいました!」
名取「そう、由良ちゃんはとってもかわいいんだよ」
夕張「なるほど、いわゆるギャップ萌え、ってわけね…」フムフム
夕立「今度、いつものお礼に、夕立が由良の頭をよしよしってしてあげるっぽい!」
五十鈴「すごい絵面になりそうね…」
鬼怒「あれ?お姉ちゃんたち、何やってんのー?」
阿武隈「演習、超疲れたんですケドー」
五十鈴「あらキヌアブ、お疲れ様」
夕張「実はかくかくしかじかで」
鬼怒「なるほどー。由良ちゃんはかわいくて優しいお姉ちゃんかー。うんうん、わかるよぉー」
阿武隈「あたしたち的にも、そんなイメージでOKです!」
夕張「あ、それはわかる」(←いつも怒らせてる人)
五月雨「ど、どんな感じなんですか?怒鳴ってるところとか想像できないですけど…」
阿武隈「んー、なんていうか、怒るといってもそういう感じじゃなくてね」
夕張「折角だし、何か話があったら聞かせてもらえる?実姉の話は聞いたし、今度は実妹の話ってことで」
鬼怒「合点!ちょうど由良ちゃんの改二の話が出たみたいだし、それに関連する話をするよ」
【鎮守府 軽巡艦娘寮(由良の部屋の前)】
鬼怒「あっ、由良ちゃんお帰りー!」
由良「あら?鬼怒ちゃんに阿武隈ちゃん。どうしたの?私の部屋の前で」
鬼怒「へっへー!実は素敵なお知らせがあって、由良ちゃんを待っていたのでした!」
由良「そうなの?それは楽しみね。とりあえず、部屋に入る?」ガチャ
鬼怒「わーい!おっ邪魔っしまーす!」
阿武隈「うう…」
由良「それじゃ、今お茶を淹れてくるから、そこで座って待っててね」
鬼怒「はーい!」
阿武隈「…ねえ、やっぱりやめようよぉ、今ならまだ…」コソコソ
鬼怒「なーに言ってんの!こんな偶然めったにないよ!貴重なチャンス!」
阿武隈「はあ…もうどうなっても知らないからね?」
阿武隈「えう…」
由良「?」
鬼怒「実はね?青葉さんから情報をもらったんだけどね?」
鬼怒「前々から話があったのはもちろん知ってると思うし、本人も待ち望んでいたことだと思うけど…」
鬼怒「ついに!第二次改装が!実装されることに決定されましたー!」
由良「えっ、そうなの!?ほんと?」
鬼怒「ほんとほんと!こりゃ~マジパナイ!」
由良「そっか…!こないだ夕張さんとフィッティングもしたし…」ワクワク
鬼怒「楽しみだよね~改二!」
由良「ええ!」
由良「え?」
鬼怒「我が鎮守府最強の戦艦が、ついに第二次改装!長門改二!マジパナイ強さなんだろうな~」
由良「///」ウツムキ
鬼怒「…ん?あれ?ひょっとして由良ちゃん、自分の改二の話だと思っちゃったかな?」
鬼怒「う~んまー自意識過剰になるのもしょうがないよね~、最近そういう話が続いてたしね~」
鬼怒「勘違いさせちゃってごめんねごめんね!テヘペロ!」
阿武隈「(うわぁ~悪意全開の顔してるんですケドこの子…ちょっと煽りすぎでしょ…)」
鬼怒「(…んん?)」
由良「あ、そろそろお茶ができた頃かな。ちょっと取ってくるから待っててね」スクッ
鬼怒「(あれ?)」
鬼怒「なんていうか、こう、もっとムーッてかわいく怒る由良ちゃんの顔が見たかったんだけど、ダメだったね」コソコソ
阿武隈「 」
鬼怒「あれ?どったの?」
阿武隈「んんっ!もうどんだけバカなの!?今、由良ちゃんすんごい怒ってたよ!?」コソコソ
鬼怒「…へ?そうなの?笑顔だったけど…」
阿武隈「だから怖いんじゃん!すごいオーラだったよ今のは!」コソコソ
鬼怒「い、言われてみれば、そうだった気も…」
鬼怒「おこっt」
鬼怒「ひぃっ」
阿武隈「ほ、ほらぁ!」
由良「はい、お茶、できましたよ」スタスタ
由良「どうぞ」コトッ
鬼怒「(ゆ、湯呑にお茶がなみなみと注がれてる…!表面張力…!?)」
阿武隈「(しかもその状態で、普通に歩いて一滴もこぼさずに持ってきたよね!?)」
鬼怒「………」ズズーッ
由良「 」ニコニコ
鬼怒「えっと、由良ちゃん、その」
由良「怒ってないわよ?」ゴォッ
鬼怒「ひぃぃっ」
由良「…確かに、自分のことかな?って勘違いしちゃったけど」
由良「長門さんにとってはとてもおめでたい話だし、艦隊としても、それはとても良い話なわけだし」ニコッ
由良「ただちょっと、ちょっとね、話の出し方的に、自分の話かな?って思っちゃっただけに、ね」
由良「ちょっと、恥ずかしかったというか、ね」
鬼怒「(うう…罪悪感パナイ…)」
阿武隈「(ほらぁ、だから言ったのに…)」
由良「…私こそ、ちょっと大人げなく反応しちゃったね。今はもう本当に怒ってないから」ニコッ
鬼怒「ゆ、許して、くれる…?」
由良「もちろんよ。これで怒るのも、なんか長門さんにも失礼な気がするし」
鬼怒「(天使か…!)」
由良「そのかわり、ちょっと今日のは流石にタチが悪かったから、ちゃんと反省はすること!」
鬼怒「は、はい!」
由良「さ、とにかくお茶を飲んで。おかわりも用意してあるからね、ね?」
由良「お話しながら、一緒に長門さんへの贈り物を考えましょ?」
鬼怒「いやー、一時的なものだったとはいえ、あの雰囲気はもう味わいたくない…」ゲッソリ
阿武隈「ホントいい迷惑だったんですケド!」
鬼怒「ちなみに、卯月にそそのかされました」
五十鈴「人のせいにしないの」
夕張「由良が本気で怒ると、ずーっと笑顔なんだよね…」
鬼怒「そうそう。持ち前の優しさですぐに許してくれるとはいえ、なんかすごく怖いの」
長良「拗ねちゃうことは今までもあったけど、それは知らなかったなぁ」
五十鈴「たまにジト目になることがあるけど、あれはまだ序の口ってわけね…」
五月雨「怒らせないように気をつけよう…」
阿武隈「五月雨ちゃんたちなら大丈夫だよ。鬼怒や夕張みたいに、よっぽどなことしない限りは…」
鬼怒・夕張「それな」
五十鈴「あんたらはちっとは反省しなさい」
大井「あ、こんなところにいた。ちょっと夕張?」
夕張「んあ、大井じゃん。どしたの?」
大井「どしたの?じゃないわよ。大淀さんが探してたわよ、まだ昨日の報告書出してもらってないって」
夕張「あっ、そうだった!もう書き終わってるんだけど、出すの忘れてた…」
大井「まったく…ちゃんとしなさいよね」
大井「それにしても、雁首揃えて何の話をしてたの?」
夕張「実はかくかくしかじかで」
大井「ふーん、由良の魅力ね」
夕張「ええ、まあ、『親友』と言っても過言ではないかな!」フンス
大井「…ただの腐れ縁よ」フイッ
名取「(照れてる)」クスッ
長良「折角だから、友達と一緒にいるときの由良の話も聞きたいな!」
鬼怒「おっ、いいねいいね!」
大井「はあ…しょうがないわね。じゃあこの話が終わったら、夕張は報告書を提出する、それでどう?」
夕張「おぉ、大井っち、太っ腹!」
大井「その呼び方はやめなさい(北上さん以外は)」
大井「由良が優しいっていうのは、まあ、そのとおりだと思うけど」
大井「実はあの子もああ見えて、結構したたかというか、お茶目なところもあるのよ」
大井「あれは数か月前の話だったかな…」
【鎮守府 明石の改修工廠】
大井「ちょっと夕張ー、まだなのー?」
由良「もうすぐ予定の電車の時間になっちゃうんだけど…」
夕張「ごめんあと1回だけ!あと1回だけ試させて!」
夕張「これが上手くいけば、幻の『改修+11』ができる…!」フフフ
大井「いやいや。明石さんでもできないんだから、無理に決まってるじゃない…」
大井「まったく、困ったわね…そもそもアイツが言い出しっぺなのに」
大井「『久しぶりに3人の非番の日が重なったから、外出許可もらって街に遊びにいこう』って」ハァ
由良「ああなった夕張さんは、なかなか動かないからね…」
大井「?」
夕張「うーん…これで大丈夫、かなぁ…」
由良「夕張さん、ちょっと今調べてみて知ったんだけど…」
夕張「ん?」
由良「私たちが乗ろうと思ってる電車は、ヒトマルマルマル発の電車なんだけど」
夕張「あー。今から走ってもギリギリ間に合わないってところかな…ごめんね、その後のにしよう!」
由良「実は、その電車を逃すと、夕方まで電車が来ないみたいなの」
夕張「えっ!?なんで!?」
夕張「真昼間に?そういうものなの!?」
大井「ええ。あの電車、確か以前にもあったわ」
夕張「そ、そんなことがあるのか…」
由良「だから、今から出ないと、今日の予定が…」
大井「折角、外出許可とったのに…」ハァ
夕張「ごごごごめん!い、今から走れば間に合うはず!行こう!」ダッ
大井「ちょっ、着替えなくていいの!?」
夕張「3人で遊びに行く貴重な時間がなくなっちゃうかもしれないんだもん!気にしてられないよ!」
由良「もう、夕張さんったら」クスッ
大井「はあっ…はあっ…」
夕張「ぜぇ…ぜぇ…そ、そんな…」
由良「ギリギリ間に合わなかったみたいね…」
夕張「うぅぅ…」ガクッ
夕張「ごめん…二人とも…私のワガママのせいで…」
大井「ほんと、困ったものね…」
夕張「はい。これからは、研究に没頭しすぎないようにします…」
大井「どうやって?」
夕張「こ、今度、御飯をおごります…」
由良「大井さん、今の聞いた?」クスッ
大井「ええ、ばっちり」
夕張「え?」
由良「それじゃあ、今日街で食べるランチは、夕張のおごりね?」
夕張「へ?今日?街で?」
夕張「あ、あれ?あれ…?次の電車、って」
由良「ふふ、引っかかったわね?」
夕張「だ、だましたなぁーっ!」
由良「騙したのは悪かったけど、これは私たちを待たせた罰。予定も後ずれしちゃったし」
大井「そういうわけで、今日のランチ、きっちりおごってもらうからね?」
夕張「うぅ…ぐうの音も出ない…」
夕張「その後、夕張さんは汚れたツナギのまま電車に乗り、街を闊歩することになりましたとさ…」
五十鈴「そういう需要もあるんじゃないの?」クスッ
夕張「適当言ってない!?」
大井「こんな感じで、由良は意外とイタズラっ子な面を時々見せたりするのよ」
鬼怒「なるほどねー。普段優しくて真面目だから、たまーにそういうことされると、あっさり信じちゃうかも」
夕張「水雷戦隊の旗艦は、やはり優しいだけではできないのね…したたかさも大事」トホホ
夕張「そういえば、3人で街へ行った日に、カラオケにも行ったんだけど」
夕張「由良の歌、すごく良かったな~」
大井「確かに。あの子の歌は不思議な魅力があるわね」
夕張「なんていうか、ヒーリングボイスというか…」
阿武隈「へー」
夕立「聞きたいっぽい!」
夕張「実はここに、録音データがあります」スッ
大井「何で持ち歩いてるの!?っていうか録音してたの!?」
♪ な~~~み~~をか~きわ~け ♪
長良「おぉ、これは…!」
名取「由良ちゃんの優しさがつまった歌声だね…!」
鬼怒「マジパナイ…!」
♪ ま~~~ぁっし~~~ぐ~~ら~~ ♪
五十鈴「最後まで聞きいっちゃった…」
阿武隈「すごい癒されたんですケド…!」
大井「声もさることながら、普通に上手いのよね…」
五月雨「zzz…」
夕立「あはは、五月雨、寝ちゃってるっぽい」ポイツンツン
五月雨「ふえっ」
大井「子守唄か」
夕張「いいよね~。疲れた時に聞くと癒されるんだ~」
大井「それで持ち歩いてるの?」
夕張「由良には内緒ね?」
夕張「えっ?あっ、由良!」(録音テープ隠し)
夕立「由良ー!」テテテ
由良「夕立ちゃん、それに皆さんも」
夕立「ぽいっ」ギュッ
由良「相変わらず甘えん坊ね」ヨシヨシ
由良「あ、それで夕張さん、さっき大淀さんが探してて…」
大井「ああ、それならさっき私も伝えたわよ、報告書出せって」
由良「大淀さん、これから別のお仕事があるらしいから」
夕張「えっ?ああ、気づいたらもうこんな時間になってたのか」
長良「あはは、だいぶ話しこんじゃったねー」
由良「みんな揃って何のお話してたの?」
夕張「や、そのー、えっと…」
夕立「由良のお話だよ!」
夕張「ちょ」
夕立「うん!由良は『優しくてお茶目なかわいい歌の上手なお姉さん』っぽい!」
夕張「そんなダイレクトに…」アセアセ
夕立「みんなそう思ってるっぽい!」
鬼怒「(よ、よかった、怒ったら怖いって話だけ抜けてた)」
由良「え、ちょ、何の」キョロキョロ
夕張「ぐはっ!」(吐血)
鬼怒「(ちょ、恥ずかしそうにうろたえる姿、かわいすぎやしませんか!?)」
大井「(く、悔しいけど、これはかわいいわね…)」
五十鈴「(やはりこの子…)」
一同「(天使だ…!!)」キラキラバターン
由良「え、ちょ、皆さん、どうしたの!?」
夕立「ねっ?」
完
なお、うろたえる由良さんのかわいさは、3時の時報ボイスでご確認ください(照れてはいないですが)
元スレ
夕張「みんなで語ろう、由良の魅力」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502013122/